OITA NAKAMURA HOSPITAL

Feature[ 特集 ]

高度医療と地域医療がつなぐ安心 ―「治し、支える」連携の力

speaker 話し手

高度な手術を担う大学病院と、充実した体制のリハビリテーションを強みとする大分中村病院。より良い医療を提供するため、それぞれの専門性を活かしながら、病診連携に取り組んでいます。今回は、がん手術を中心とした高度医療、術前・術後の薬物療法やがんリハビリテーションをつなぐ実践について語り合いました。「治す医療」から「治し、支える医療」へー連携のかたちと、これからの地域医療のあり方を探ります。

猪股 雅史

大分大学医学部附属病院 消化器・小児外科学講座 教授

猪股 雅史(いのまた まさふみ)

1988年大分医科大学(現大分大学)卒業。消化器外科領域を中心に、長年にわたり高度ながん手術と臨床に従事。現在は医学部長として、医療人材の育成や地域医療の発展にも力を注ぐ。外科手術、薬物療法、研究を横断した集学的治療を推進し、地域との連携強化にも取り組む。趣味は温泉で、大分県温泉マイスターとしても活動。

麓 祥一

大分中村病院 外科部長・腫瘍外科部長

麓 祥一(ふもと しょういち)

1999年大分医科大学(現大分大学)卒業。消化器外科を基盤に、腫瘍外科、化学療法や緩和ケアまで幅広く担い、がん患者の精神的なサポートまで含めて一貫して支える医療を実践。国内外での研究・臨床経験を活かし、地域に根ざした質の高いがん医療の提供に尽力する。趣味は自然を感じること、湧水巡り。

浅倉 秀剛

大分中村病院 リハビリテーション部部長/作業療法士

浅倉 秀剛(あさくら ひでたか)

大分リハビリテーション専門学校卒業。2000年大分中村病院に入職後、回復期病棟の立ち上げに携わる。現在は100名を超えるスタッフを統括し、24時間365日体制で急性期から生活期まで切れ目のない支援体制の構築に注力。患者一人ひとりに寄り添うリハビリの実践と人材育成に取り組んでいる。趣味はスポーツ観戦と温泉。

―まずは皆さまのこれまでの歩みと、現在の役割についてお聞かせください。

猪股:大分大学医学部消化器外科で診療科長として、2014年から約10年以上、患者さんを大学病院で担当しています。現在は医学部長として、診療に加え、多職種の医療人材の育成にも力を入れています。あわせて、地域医療への貢献や医学研究、さらには医療人材の海外貢献にも取り組んでいます。

私は大分県出身で、大分大学附属病院が開設された年に入学しました。実は中学生の頃、柔道で椎間板ヘルニアを患い、1カ月ほど入院したことがあります。そのときにお世話になったのが大分中村病院で、初代院長の故・中村裕先生に診ていただきました。大分中村病院は非常にご縁のある病院なんです。麓先生は同じ大分大学出身の後輩です。同じ消化器外科、がん治療に携わりながらも、それぞれ異なる役割を担っており、その違いが大学病院と大分中村病院の連携につながっていると思います。

:私は1999年に大分医科大学(現大分大学)を卒業し、外科医としてキャリアをスタートしました。医師になって6年目に広島大学に国内留学し、抗がん剤治療の効果予測に関するトランスレーショナル研究(※1)に携わるとともに、腫瘍内科で抗がん剤治療の臨床経験を積みました。その後、海外でがん研究に従事し、2013年に帰国して、これまでの学びや経験を、大分県の患者さんに還元したいという思いから現在の職務に就いています。

※1:基礎研究の成果を、患者さんの診断や治療に役立てる研究

今は消化器外科をベースに、腫瘍外科、化学療法、緩和ケアと幅広く関わっています。手術や薬物治療を提供するだけでなく精神的なケアまで含めて、チームで一貫した医療を提供することを大切にしています。

高度で専門的な手術は大学病院に委ねつつ、当院だからこそ提供できる医療に力を注いでいます。特に当院のリハビリテーションは大きな強みであり、この機能を最大限に活かして患者さんに提供することが、自分の役割だと考えています。

猪股先生には、抗がん剤治療、緩和ケアやがんリハビリテーション(がんリハ)(※2)、さらには研究活動に至るまで、多方面でサポートしていただいており、大変感謝しています。

※2:がん患者さんの体力や日常生活を支え、生活の質を保つためのリハビリテーション

浅倉:私は愛媛県出身で、2000年に大分リハビリテーション専門学校を卒業後、大分中村病院に入職しました。入職後すぐ七森院長のもとで回復期リハビリテーションの立ち上げに携わり、回復期のセラピストマネージャーという資格を取得しました。現在は部長として組織運営と人材育成に携わっています。

当院のリハビリスタッフは100名を超え、各疾患において高い基準を維持しています。その質をさらに高めていくための教育体制の構築が大きなテーマです。私自身が大切にしているのは、急性期医療にとどまらず、患者さんが地域に戻り、その人らしい生活を取り戻すまでを見据えたリハビリテーションです。術前・術後の過程で、身体機能や体力の維持・向上にリハビリがしっかり関わることができればと考えています。

—連携はどのように始まったのでしょうか。

猪股:大学病院では現在、高難度の手術や先進的な医療技術が求められています。たとえば内視鏡手術やロボット支援手術といった、身体への負担を抑えた治療が進んでいますが、重要なのは、治療後の生活の質、いわゆるQOL(クオリティ・オブ・ライフ)をしっかり保つことです。

高齢化が進む中で、さまざまなリスクを抱えた患者さんも増えています。そうした方に対して安全に手術を行い、術後のQOLを上げるためには、手術前からの準備が非常に大切です。具体的には、術前の段階で身体機能を高め、手術に耐えうる状態をつくるリハビリ、そして術後の回復を支えるリハビリです。

大分中村病院は「がんリハ」に非常に力を入れており、連携が自然と始まりました。食道がんの手術を中心に、周術期管理(※3)をお願いする形で関係が深まり、現在では両院の病診連携が一つのシステムとして確立されています。

※3:手術の前後を通して、患者さんの全身状態を整え、安全に治療を進めるための管理

もう一つ、大きな柱が、薬物療法です。がん治療は抗がん剤、分子標的薬(※4)、免疫チェックポイント阻害剤(※5)などを用いた薬物療法が不可欠になっています。その内容は複雑化しており、専門的な知識と経験が求められます。麓先生は、外科医でありながら薬物療法にも精通しており、外科と薬物療法の両方の視点を持ちながら、患者さん一人ひとりにとって最適な治療を組み立てることができます。その専門性を活かして食道がんに限らず幅広い症例で連携をお願いしています。がんリハビリと薬物療法、この二つの軸が加わることで、患者さんをトータルに支える医療が実現します。

※4:がん細胞に特徴的な分子を狙って作用する薬
※5:がんに対する免疫の働きを高め、がんを攻撃しやすくする薬

:これまで国内外の複数の施設で学ぶ機会をいただき、基礎研究から臨床まで、がん治療に関するたくさんの経験を積ませて頂きました。個々の力、ひとつの病院だけでは限界があると思います。大分県全体として力を合わせ、患者さんを支えていく医療ができればという思いを抱えていました。

そういった部分で猪股先生は、大分県全体の医療を見据えた外科治療やがん診療を一つの方向に導いてくださっている存在だと感じています。実際、地域病院が大学病院とこれほど密な連携を築かせていただいているケースは、全国的に見ても珍しいようで、学会などでもよく驚かれます。

猪股:大学病院と地域の医療機関の機能を活かしながら連携することは、これからの時代において必要ですが、なかなか実現できている事例は少ないですね。医療機関はたくさんありますし、時には競合関係にもなり得るからです。

そうした中で連携を成立させるために最も重要なのは、「患者さんを第一に考える」という共通の想いです。そこで働く医師や医療スタッフ同士の信頼関係、いわば“心の連携”があってこそ、初めて実現するものだと思います。現在の取り組みは、そうした想いが一つの形として表れているんだなと思います。

:医師は目の前の患者さんを「何とか治したい」という共通した想いがありますね。患者さんをご紹介頂いた際には、リハビリを通じて体力の維持や向上を図り、より良い状態で大学病院へ戻すことを意識しています。結果として、術後の合併症の予防や回復の質の向上にもつながっていると感じています。そうした積み重ねの中で、患者さんを中心に据えた連携が自然と形になってきたのではないでしょうか。

―連携により患者さんにはどのようなメリットが生まれるとお考えですか? また連携がうまく機能していると感じるのは、どのような瞬間でしょうか。

猪股:まず大切なのは、それぞれの医療機関が持つ得意分野を明確にし、それを患者さんにきちんと伝えること。患者さん自身もよく理解しており、納得した形で医療機関を移りながら治療を受けられています。

大分中村病院は地域に近い存在であり、生活に戻るイメージを持ちながら治療に向き合える環境があります。また大学病院で手術を受けるための準備期間としても非常に重要な役割を担っています。身体的なコンディションを整えるだけでなく、気持ちの面でもしっかりと手術に向き合える状態をつくることができる。それは、患者さんにとって大きな支えになっていると感じます。

連携がうまくいっていると実感するのは、やはり患者さんの治療がうまくいった時です。大分中村病院でしっかりと身体機能を整えていただき、より良い状態で手術に臨み、術後も元気になって再び生活へと戻っていく。その一連の流れが実現したときに、連携の良さを感じます。

:連携がうまく機能しているのは、いつでも連絡を取り合える関係性が構築されている点が一番大きいですね。通常、地域連携を通じた入院調整などは時間がかかることもありますが、私たちの場合は電話一本で対応が決まることも多く、非常にスムーズです。夜間であっても状況に応じてお互い連絡が取れるので、柔軟に判断しながら、患者さんにとって最適な場所で治療を継続することができます。この“安心感”が、うまく循環していると思います。

また、対象は手術や抗がん剤治療中の患者さんだけではありません。積極的な治療が難しくなった段階においても、緩和期のリハビリテーションなど、患者さんに提供できる医療はあります。そうした場合でも、すぐに連携できる関係性は今の状況につながっていると思います。

猪股:スムーズな連携につながるベースの1つに、人事交流がありますね。現在も大分中村病院に大学から消化器外科の医師2名が在籍しており、麓先生のもとで、がんリハビリや薬物療法を実践的に学んでいます。その経験を通して、双方の医療の特徴や強みを深く理解できるようになります。いわば“顔の見える連携”が、患者さんの質の高い治療にもつながっていると思います。

―大学病院における取り組みについて、お聞かせください。

猪股:高齢化が進む中で、複数の疾患を抱えた患者さんも増えており、QOLの維持や身体に負担の少ない治療が必要になってきます。その中で、現在はロボット支援手術や内視鏡手術が主流となっていますので、その技術をしっかり患者さんに提供できるような医療体制、人材育成を進めるようにしています。

また、がん治療は手術だけで完結するものではありません。薬物療法や放射線治療などを組み合わせた「集学的治療」が基本となっており、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療をしていくことが大事です。現在は、こうした治療をさらに個別化し、それぞれの患者さんに合った医療を提供していくことを目指しています。その中で、大分中村病院との連携は非常に重要な役割を担っていると思います。

さらに大学病院としては、救急医療の拠点としての役割も担っています。特に外傷外科の領域では、1分1秒が生死を分けるケースも少なくありません。そのため、ドクターヘリの運用を含め、緊急時には迅速に対応できる体制を整えています。消化器外科においても、常に緊急手術が可能な体制を維持しており、県内の医療機関からの要請に対しては、いつでも受け入れられるようにしています。

:猪股先生は大学病院の枠を超えて、大分県全体の外科医療を一つにまとめてくださっている存在だと感じています。実際、大分県は外科医同士の結びつきが非常に強く、困ったときには大学病院だけでなく、地域の医療機関同士でも患者さんを第一と考え相談し合える環境があります。

私自身、教育や研究の面でも大学病院と継続的に関わらせていただいており、若い医師や大学院生の先生方と接する機会も多く、日々よい刺激を受けています。そうした関わりの中で、次の世代が育ち、地域全体で医療を支えていく流れが生まれていると感じています。

猪股: また大学の取り組みとして、「研究機関」としての役割があります。現在は、麓先生には客員研究員として入っていただき、大学院生の指導も含め、オルガノイド(※6)を使ったがんの性質、あるいはどの薬が効果的かをあらかじめ予測したりするといったがん研究に取り組んでいます。 このつながりは10年以上にわたって継続しており、大分県にとどまらず、日本、さらには世界のがん医療にも貢献しうる可能性を持っている研究です。社会実装へとつなげる成果を生み、実際の医療現場で活かせる形にしていくことが、次の10年に向けた大きな目標です。

※6:患者さんの細胞などから作製し、体の中の臓器やがんの性質を再現する立体モデル

―医療が進化する中で、変わるべきものと変わらないものについてお聞かせください。

猪股:医療は日々進歩していますから、新しい知識や技術を積極的に取り入れ、患者さんの治療に役立てていくことが大事です。リハビリの中でもまた得意分野が多様化していくので、それぞれの専門性を活かし、適切に役割分担を行いながらチームとして医療を提供していく体制づくりと人材育成も、今後さらに進化していかないといけないでしょう。

医療が進化しても変わってはいけないものは、患者さんのウェルビーイング、すなわち生活の質の向上をなんとかしていこうという基本的な気持ちだと思います。

:私も同じ考えです。医療技術はますます進歩していくと思います。抗がん剤治療の分野でも新しい薬が次々と登場しており、その特性を正しく理解し、患者さん一人ひとりに最適な形で提供していくことが必要です。

一方で、変わらない、変えてはいけないことは患者さんやご家族の思いに寄り添う気持ち。治療中の患者さんが、がんと向き合う中で感じる不安や恐怖、そしてご家族も同じように辛い思いを抱えている、その思いに寄り添うことは、これからも大切にしていきたいと考えています。

その一つの取り組みとして、猪股先生にご配慮いただいて、8年前に食道がん患者会を立ち上げました。今後医療技術が進んでいっても、人間同士の想いに関しては、変わっていくことはないと思います。だからこそ、大切にすることが必要だと感じています。

猪股:患者会はとてもいいですね。大学病院では、患者さんが一時的に治療を受ける場であることや、広域から来院されることもあり、こうした場を作ることはなかなか難しいです。同じ病気を共有する患者さん同士が支え合い、学び合うことって実はたくさんあります。それを大分中村病院で実践されていることは、大学病院としても嬉しいと感じます。

:当院では、さまざまながんの患者さんやご家族が参加できる「がんサロン」も定期的に開催しています。リハビリテーションスタッフも関わり、開始前に体操を行うんですね。参加者は初め緊張していますが、体操することでリラックスして、自然に対話が生まれます。

食道がん患者会は年に1度、1年かけて準備し開催しています。他院で治療を受けている方も含め、多くの方に参加いただき、情報共有や交流の場として大きな役割を果たしています。

猪股:大分県において、食道がん患者さんと最も長く、深く関わっているのは大分中村病院だと思います。大学病院で手術を行った患者さんの多くが、その後の周術期管理で同院に関わっています。そこで患者会ができるのは非常に意義が大きいと思います。

―がん医療におけるリハビリテーション(がんリハ)の役割を教えてください。

浅倉:私たちが注力しているのは、患者さんの体力を維持すること、そして生活行為を途切れさせないことです。そのために、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3職種が連携しながら関わっています。

体力の維持・向上は理学療法士が担い、それを実際の生活行為につなげていくのが作業療法士の役割です。さらに言語聴覚士が嚥下機能(※7)のリハビリを行い、治療に備えたり、生活の質向上を支えています。

※7:食べ物や飲み物を、口からのどを通って安全に飲み込む働き

また、患者さんの状態や治療のフェーズに応じて、関わり方を柔軟に変えていくことも重要です。当院ではがんリハの研修を受けたスタッフが20名以上いますし、365日体制で動いています。週1回のカンファレンスにおいて医師と密に情報共有も行っています。

療法士は患者さんと接する時間が最も長い職種でもあります。身体機能だけでなく、その日の心の状態なども含めて医師と共有し、多職種で支えていく体制を整えています。常に連携を取りながら、患者さんの体力と生活行為を維持できるように、もしくは改善できるように働きかけています。

:がんリハの価値は、身体面だけではありません。実は、精神的な面での効果が非常に大きいと感じています。がんと診断されたとき、多くの患者さんは不安や落ち込みを抱えます。その中で「体を動かす」行為は、気持ちを前向きにする力があると言われています。実際に、当院の患者さんは治療中であっても表情が明るい方が多く、それはリハビリの影響も大きいのではないかと感じています。

医師は治療そのものに意識が向きがちですが、患者さんにとっては心の支えも同じくらい重要です。リハビリは、その両方を支える役割を担っていると思います。

がんと診断された直後の不安が大きい時期、治療中、そして術後の回復期、さらには病状が進行した段階における緩和期、それぞれの時期に応じたリハビリテーションが存在します。当院はそうした全ての時期に応じたがんリハを行なっているという特徴があります。 終末期の患者さんに対するリハビリについては、まだ十分に理解されていないかもしれません。しかし身体を少し動かすだけでも、痛みの軽減や呼吸の楽さにつながることがあります。そうした全ての時期に提供できるリハビリテーションがあることを広く伝え、理解を深めていくことも重要な課題だと考えています。

がんリハビリテーションについて詳しくはこちら

―がんリハにおいて、患者さんを支える上で大切にしていることは何でしょうか。

浅倉:私たちが大切にしているのは、「患者さんがその先にどんな生活を望んでいるのか」を丁寧に聴くことです。患者さん自身の希望にしっかり目を向けるために、時間を取ってお話を伺い、がんリハの意味や私たちの役割を理解していただいた上で、患者さん自身が主体的に取り組めるようにつなげています。

受け身のままでは長く続きません。「自分はどうしたい」「こういう風に社会参加していきたい」などそこまで踏み込めば、治療を支える医療になるのではないかと思っています。

また、患者さんの状態や気持ちは日々変化するので、同じリハビリがすべての方に当てはまるわけではありません。その時々の体調や心理状態を丁寧にくみ取りながら、その人にとってより良いリハビリテーションをどういう風に提供するか模索することが大事なんです。無理に進めてしまうことで、かえって心を閉ざしてしまうこともあります。そうした気持ちも含めて尊重することが、結果的にその人の活動につながっていくのだと思います。

治療の過程では、倦怠感や痛みなどにより、前日と同じことができない日もあります。だからこそ、患者さんの病状と気持ちを汲み取りながら、「活動することでこうした良い変化がある」と丁寧に伝え、無理のない形で関わっていくことを心がけています。

猪股:私は、どうしても身体機能のことに意識が向きがちでしたが、今日改めて心のことまで考えた管理をされていることを伺い、非常に嬉しく思います。本当に医療はそうあるべきだと思いますし、今後も術前・術後を通じたがんリハビリテーションを、さらに充実させていただきたいと大いに期待しています。

—今後目指していきたい連携や取り組みたいことについてお聞かせください。

猪股:私たちはこれまで、患者さんに「笑顔」を取り戻していただくことを何よりの目標として連携を進めてきました。今後はその取り組みを、さらに発展させていきたいと考えています。そのためには、それぞれの医療機関が持つ強みをより明確にし、磨き続けていくことが重要です。大分中村病院には、がんリハビリテーションや薬物療法、さらには患者会といった取り組みなど、非常に大きな強みがあります。こうした価値をどんな時代になってもぜひ推進していただきたいなと思っています。

また、医師だけでなく、人材育成も重要なテーマです。大学の医学部には、看護学科や福祉健康科学といった分野があり、将来がんリハビリに関わる人材の育成も行なっています。大分中村病院で働けるような人材を育てていきたいと思っていますので、ぜひご指導いただきたいなと思っています。

:私は、現在食道がんの患者さんを中心に関わらせていただいていますが、今後も必要としていただける場面があれば、できる限り力を尽くしたいと思っています。

直近の目標としては、がんリハビリテーションをさらに県内に普及させたいです。大分県全体のがん治療がいい方向に向かうと考えていますし、そこに貢献させてもらえたらと思っています。

浅倉:今日猪股教授からメッセージを受け取ったので、それをしっかり実践していきたいと思います。がんリハについては、訪問リハビリのスタッフもいますので、対象を在宅にも広げ、急性期から生活期まで関われる体制を強化していきたいです。がんリハと訪問リハに対応できるスタッフもいるので、今後の課題として柔軟な体制づくりを進めていきたいと思います。

:今後目指すところとして、「治す」ということは非常に重要ですが、それだけでなく、「支える医療」を心がけて、地域の中でしっかりと形にしていきたいと思っています。

猪股:いいポイントですね、「治す医療」から「治し、支える医療」へというのは、大分中村病院の理念を実践していますね。人材育成に注力している大学としても、高度急性期医療を基盤としながら、それだけで完結するのではなく、人の心まで支え、患者さんを笑顔にできる医療人を育てていきたいと思っています。


がんサロン:がんと向き合う患者さんやご家族が、病気の不安や日々の暮らしの悩みを、お茶を飲みながらゆったりと語り合える交流の場です。
https://www.nakamura-hosp.or.jp/activity/fika/

食道がん患者会:食道がんの治療をされている患者さんやご家族、また、ご家族を食道がんのため亡くされたご遺族の方を対象に、日頃の悩みや今の想いを共有して頂く場として院内で開催しております。
https://www.nakamura-hosp.or.jp/activity/ecpg/

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