OITA NAKAMURA HOSPITAL

Mini[ ミニ記事 ]

患者家族サポートシリーズ

退院日はいつ?医療現場の判断基準をわかりやすく紹介

 

看護師さんから退院決定に至るまでのステップの説明は受けたものの、リハビリが始まり痛みが少しずつ引いてくると退院日について「いつ頃だろう」と気になってしまうことはごく自然のこと。患者さんの家族も退院の目処がつくことでその後の予定が立てやすくなるので、目安でもいいから知りたいと考えています。退院日について、医療スタッフと患者さんとの間でその判断基準にギャップがあります。
医療スタッフも可能な限りご希望に添えるため日々患者さんと向き合っている様子を中村さんのケースをもとにご紹介します。

Characters 登場人物

中村さん(80代)

大分市在住

中村さん(80代)

少し前に妻が他界し、現在は一軒家で1人暮らし。週に1度娘が会いにくることを楽しみにしている。

中村さんの娘

大分市在住

中村さんの娘

結婚を機に実家を出て父とは離れて暮らす。週に1度は、電話や実家に行き父の様子を見ている。

リハビリスタッフ

大分中村病院

リハビリスタッフ

大分中村病院に勤務。患者さんと直接関わり、基本的な動作能力の回復を目指す。

医療スタッフと患者さんの間にある判断基準のギャップ

ようやく痛みも引いてきたな。この調子だと来週くらいには家に帰れるんじゃないか。娘にも予定があるから退院日を早く伝えてやりたいし…今日のリハビリの時にちょっと聞いてみるか。

中村さん(80代)

中村さんは、今日のリハビリの最後にスタッフに声をかけました。

退院日はいつ頃になりそうですか?痛みも引いてきたので、そろそろ退院できるんじゃないかと思って。家族にも伝えておきたくて…。

中村さん(80代)

退院日ですか。確かに最初に比べるとだいぶ痛みが引いてきてるようですし、確認してみますね。お待ちください。

すみません…お伝えできるようになるまでもう少しお時間がかかるみたいです。

でも、大体の目安って分からないものなのか?あと何日くらいで治療が終わりそうかとか、今まで自分と同じようなケガをした人はどのくらいだったとか…。
家族が仕事の都合を合わせる必要があって、ある程度の目安がないと準備が難しいんだ。

中村さん(80代)

お気持ちはわかります。ご家族も心配されますよね。私たちもお伝えしたいところですが、退院は具体的な日付で決まるというよりも、治療の進み具合や回復の段階に基づいて医師が判断しています。中村さんの場合は骨折なので、骨がしっかりくっつくプロセス(骨癒合)が確認できないと次のステップに進めないんです。

そうか…。

中村さん(80代)

次回の診察の際にレントゲンを撮りますので今の骨の状態がわかると思います。骨の癒合は、部位によって異なり数週間から数ヶ月かかりますが、年齢や回復力によっても変わってくるので、まずは次回の診察までリハビリを頑張りましょう。(※1)

※1. 入院期間は、大腿骨頚部骨折で1-3ヶ月、橈骨遠位端骨折なら2-3週ほどかかりますがあくまで目安であり年齢や患者さん自身の回復力によっても異なります。ご自身で判断せずに医師の診断をしっかり受けるようにしましょう。

治療期間の目安として、例えば、骨の子供(かこつ)ができいるかどうかがあり、骨の子供ができていると次のステップに行ける可能性が高まります。

そうなのか。骨の状態をしっかり診てからわかるものなんだな。家族にも今の状況を伝えておくよ。

中村さん(80代)

ご理解いただきありがとうございます。わからないことがあれば、いつでも聞いてくださいね。できるだけお答えできるようにします。

まとめ

入院生活とリハビリがはじまり、痛みも引いてくると回復までの期間や具体的な退院日について、患者さんやその家族から相談を受けることがあります。

しかし、患者さんご自身が感じる体の様子と医療スタッフの判断には、ギャップがあることがあります。医療スタッフは、普段のリハビリの様子やレントゲンの結果、日々の診察、患者さんの年齢や体力などさまざまな情報に基づき、リハビリのステップや退院日の決定しています。それは、同じ疾患でも患者さん一人一人の症状やその後の生活環境が異なるからです。その判断基準の違いにより患者さんとの間にギャップを生んでしまいます。

そのギャップを埋めるために、医療はスタッフは患者さんひとりひとりと向き合い、退院後も安心して生活を送っていただけるよう最善を尽くしています。わからないことや不安に感じることは、何でも気軽に当院の医療スタッフにお尋ねください。

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