大分中村病院   RETUNEHOME

大分中村病院の最新の情報や話題をいち早くお伝えするページです。

第36回大分県看護研究学会 発表論文


第36回大分県看護研究学会/大分県大分市/2014.2.1

ICU・ER統合後の実践能力育成への取り組み
〜病棟内研修の見直し〜


看護部
○小野佐知子

機イ呂犬瓩

 N病院は、今年度9月より、救急体制の強化と看護の質の向上のため、ICUとERの統合を図った。
 統合後、職員30名中、師長・准看護師・新人看護師らを除く22名は、ICU・ER両方の勤務をしていく。この中で両部署の経験者は2人だけであった。ICU・ERは、医療機器や薬剤を使用する機会が多い。慣れない環境下での勤務は、管理上の危険要因がわからないこと、コミュニケーション不足、スピーディーな対応ができないことなどが原因でインシデントを招く恐れがある。また、看護師の知識・技術不足がアクシデントにつながる可能性も大きい。新体制後は、それぞれの分野の業務内容や知識・技術が未習得であるスタッフが大半を占めるため、アクシデント発生の可能性が懸念された。このため、早期に、ICU・ER特有の専門的知識や技術を身に付け、安全管理を意識した実践能力の向上が必要であった。
 そこで、スタッフが、統一した知識と技術を効率的に習得できる病棟内研修(以後、研修とする)に着目した。以前の研修は講義形式で行っていた。しかし、講義式の研修では、受動的学習となり、臨床でのイメージがつきにくく、記憶に残りにくい。一方、シュミレーション形式では、現実に近い状況下で繰り返し学べるため、イメージがつきやすく記憶にも残りやすい。そのため、早期に実践能力が身に付くよう、講義式からシュミレーション形式もしくは現実に近い環境下での研修へ変更した。ここに取り組んだ結果を報告する。

供ゼ汰目的

研修を通し、専門的知識・技術を身に付けることで実践能力向上を目指す。

掘ゼ汰計画

1、対象:ICU・ER看護師30名

2、期間:平成25年10月〜12月

3、具体的方法

1)目標
 臨床に近い模擬体験を研修で実施することで、専門的知識・技術の向上が図れ、新体制後も安全な看護サービスを提供することができる。

2)解決策

(1)教育主任・リスク委員と共に研修内容の選定
〜乾好織奪佞愆望する研修のアンケートを施行。
過去のインシデント内容の調査。
新人看護師の夜勤導入期など環境も含め考慮する。

(2)研修の方法
)莊遑院腺臆鵝病棟会時または日勤終了時に30分程度で行う。
⇒縦蠅気譴觚修内容に熟練しているスタッフが、講師として行う。必要に応じて他職種に依頼する。
4靄榲にシュミレーション形式で行う。状況設定や手順、使用する物品は、N病院ICU・ERで取り扱われている方法に準じたものとする。
ぜ茲螳靴ζ睛討砲弔い討六前に担当スタッフと打ち合わせをする。(研修の目的や必要物品など)

3)評価方法

 各研修前後に、受講スタッフによる評価表への記入。1、わからない 2、あまりわからない 3、どちらともいえない 4、ややわかる 5、よくわかる の5段階評価とした。評価表は、N病院ICU教育委員が作成したICU看護技術チェックリストをもとに、研修内容の目的に沿うよう一部修正して使用した。

検ノ冤的配慮

 研究参加者には病棟会にて趣旨を説明し、協力を得た。評価表は個人が特定されないよう無記名とし、得られた結果は本研究のみに使用した。

后ゼ茲蠢箸澆亮尊檗雰覯漫

 期間中の研修は、ゝご描浚鼻除細動・AED・救急薬剤の使用脳外科ドレーンの管理5澣浚擬圓両瀕禪‘ぁΕ▲鵐僖奪院璽献鵐以法た郵呼吸器の管理を行った。

1、気管挿管・除細動・AED・救急薬剤の使用
 参加人数23名、有効回答率95%であった。研修評価は、5点満点中、研修前は平均4.25点が、研修後は4.53点と0.28点上昇した。実施内容の選考理由は、10月から新人看護師の夜勤が開始されたため、まだ経験が浅い心肺蘇生法の習得と薬剤によるアクシデント防止のためであった。ICU経験4年目スタッフによる、心肺蘇生法の一連の流れと救急薬剤の説明の後、N病院ICLSインストラクターであるスタッフらによる実技演習を行った。心肺蘇生用マネキンを使用し、気管内挿管時の介助や除細動・AEDの取り扱いを行った。新人看護師らが、介助役を経験した。所要時間は、約1時間であった。

2、脳外科ドレーンの管理
 参加人数21名、有効回答率は100%であった。評価は、研修会前3.23点から研修会後4.25点と1.02点上昇した。選考理由は、脳外科ドレーンに関するインシデント件数が多かったこと、アンケート結果から研修の要望が多かったためである。講師は、ICU経験3年目になるスタッフが行った。実際使用するタイプのドレーン回路・パック・計測器を用いて、注意点を交えながら圧設定・計測方法を説明した。所要時間は30分であった。

3、救急患者の症例・アンパッケージング方法
 参加人数20名、有効回答率100%であった。評価は、研修会前2.92点から研修会後4.43点と1.51点の上昇であった。救急患者の症例検討は、スタッフからの希望があり、アンパッケージングはインシデント予防のため行った。講師は、ICU経験4年かつER経験1年目である看護師が行った。内容は、ICU・ERそれぞれの対象患者の症例を挙げ、○×のクイズ形式とした。答えの解説は、アセスメントを踏まえて行われた。アンパッケージングは、実際使用している物品を使用し、予測される危険性を交えて解説をした。所要時間30分であった。

4、人工呼吸器の管理
 有効回答率100%であった。評価は、研修会前3.57点から研修会後4.50点と0.93点の上昇であった。全員が参加できるよう施行日時を日勤終了後にし、2日に分けて行った。選考理由は、スタッフの希望している研修内容であったこと、管理不足が患者に直接影響を与えてしまうためである。人工呼吸器の基本操作方法は、院内集合研修にて学んだ後であったため、内容は「グラフィックモニターの見方」にした。専門性の高い領域のため、講師は臨床工学技士に依頼した。実際使用している人工呼吸器を用いて説明し、設定変更など体験できる機会も設けた。

此ゼ汰をとおしての学び(考察)

 研修会前と比較して、研修後は、各研修共に平均点数の上昇がみられた(表1)。これは、研修を行う前と比較し、研修後は知識または技術の向上が図れたと言える。スタッフからは、「手に触って行えるのでわかりやすい」「実用的な内容で役に立つ」との声が聞かれた。新人看護師からは、「明日自分がするかもしれないという危機感を持ち参加できて勉強になった」という意見もあった。技術的な研修に対し、講義形式からシュミレーション形式へ変更したことでイメージをわきやすくしたこと、N病院の状況にあわせた設定にしたこと、その内容に熟練したスタッフが講師にあたったことが要因であると推測する。
 ただ、心肺蘇生法の研修は他の研修と比較して、研修後の点数の上昇が、0.28と低かった。また、他の研修が研修前2.92〜3.57と「どちらともいえない」が平均的な中、4.25と「ややわかる」が平均であった。これは、対象を主に新人看護師としたため、すでに心肺蘇生法をマスターできている先輩スタッフには、習得というより再確認の場となったためである。病棟研修会は、様々な成長段階のスタッフがいるため、対象をどこにおくかで、研修の内容や病棟としての全体的な成果が変わってくる。研修は、中心となる対象者や、組織力の育成も考慮して計画的に行うことも必要である。
 また、心肺蘇生法の研修では、所要時間が30分延長した。理由は、目的が「新人看護師が心肺蘇生法を学ぶこと、救急薬剤のリスクの再認識」と広く漠然としていたこと、実施した項目が多かったこと、各手技に要する時間配分を考慮していなかったためである。真殿は、「ゴールが決まればそのゴールをめざして、そうなるための必要十分な項目を選択する。(中略)選択肢のなかから最善と考える項目を、時間帯に沿って抽出する。」1)と述べている。研修を時間内に効果的に行うには、まずゴールを決める必要がある。そして、限られた研修時間であるため、必要な項目を選択し、時間帯を組み込み計画することが大切である。今後は、研修担当者と共に、研修目的を明確化した上で、項目、時間配分をも事前に打ち合わせし、研修の充実を図っていきたい。

表1 研修前後の評価平均点(5点満点)と差
 心肺蘇生脳外科
ドレーン
救急患者
症例
人工呼吸器
研修前4.253.232.923.57
研修後4.534.254.434.50
前後の差+0.28+1.02+1.51+0.93


察シ誅

1.研修により、知識や技術の向上は見られた。
2.シュミレーション形式では、手に触れられわかりやすく、臨場感も湧く。
3.研修は、対象者をどの段階にするか、組織力の育成も考慮して計画的に行うことが必要である。
4.研修のゴールを決め、必要な項目を選択し、時間帯を組み込み計画することが大切である。

次イわりに
 研修は、実践能力向上へのきっかけとなるが、個人の向上意欲や成長段階などでその効果に個人差が出てくる。また、知識を身に付けるだけでは、実践能力は向上しない。その知識を、実践の場で活用して意味をなしていく。そのために、日々の業務のOJTの中で、個人にあわせた教育、研修内容の活用を併用して行い、実践能力の向上に努めていきたい。

引用文献
1)真殿道生:成果を2倍にする社員研修の鉄則45,101,同文館出版,2009.

2014年02月13日(木) No.816 (学術活動::抄録)

No. PASS

Powerd by shiromuku(fs6)DIARY version 1.81

サイトマップ推奨環境免責事項個人情報

社会医療法人恵愛会 大分中村病院
〒870-0022 大分県大分市大手町3丁目2番43号
TEL:097-536-5050 FAX:097-537-0164
http://nakamura-hosp.or.jp/

Copyright 2004 Oita nakamura hospital. All rights reserved.