入念なヒアリング
退院から数ヶ月。中村さんはこれまで通り一人暮らしを続けながら、定期的に病院へ通っていました。ある日、久しぶりの検診に娘さんと一緒に病院を訪れた中村さんが、ぽつりとこんな話をしました。
最近ちょっと不安になることがあってな。一人で暮らすのも、そろそろ限界がくるかもしれん。元気なうちに、施設も考えておいたほうがいいのかもな。

それを聞いた娘さんは、病院の待ち時間を利用してソーシャルワーカーに相談してみることにしました。
ちょっと相談したいことがありまして…。父は今のところ元気にしてるんですが、本人が『施設を考えておいたほうがいいかも』って言ってるんです。でも施設っていろいろあるし、お金のことも含めて、どう考えればいいか分からなくて。


そうでしたか。多くの方が同じような悩みをお持ちです。ご本人のご希望や、介護の状況によっても変わってきますので、まずはしっかりヒアリングさせてください。施設のご提案にあたっては、次のような観点からお話をお聞きしています。
| 【ヒアリングでお聞きするポイント】 ・ご本人の身体状況や医療的ニーズ ・ご家族の生活圏と距離(面会に行くご家族の交通手段など) ・ご本人の生活スタイルや価値観 ・費用面での上限 ・入所までにかけられる期間 |
ソーシャルワーカーは、中村さんに適した施設を提案するために、丁寧にお話を伺いました。

お話を聞いた結果、中村さんの場合、
1.ご自宅と娘さんのお住まいの近く
2.負担できる費用面に上限がある
3.自宅での生活スタイルで過ごせそうな施設
というポイントを中心に施設を考えると良いと思います。

中村さんの思いとご家族の安心、どちらも大切にできる施設として、
〇〇住宅型有料老人ホーム、△△サービス付き高齢者向け住宅がおすすめできます。どちらもヒアリングの際に大事にされたいポイントとしてお聞きした、生活の自由度を保ちながら、必要な支援が受けられる点で中村さんにご提案させていただきました。ご本人の“自宅での生活スタイルで過ごせるところ”というお気持ちと、ご家族の“安心して見守りたい”というご要望の両方に寄り添えるのではないかと思いますがいかがでしょうか。
※〇〇、△△には実際の施設名称が入ります。
なるほど、それなら父の想いにも合いそうですね。


一方で、中村さんの状態や介護の必要度が今後変化していく可能性も考えられます。そうした際には、中村さんに合った支援が受けられる別の施設を検討することも大切です。詳しくは、下記の施設一覧をご参照ください。
主な施設の種類
| 【民間施設】 | 介護付き有料老人ホーム | 介護サービスがセットになっており、24時間体制で介護スタッフが常駐。スタッフが身の回りの支援を行います。 |
| 住宅型有料老人ホーム | 介護サービスは外部事業者が提供。必要な介護を個別に受けることもできます。 | |
| サービス付き高齢者向け住宅 | バリアフリー構造や安否確認・生活相談サービスが基本。自立~軽度の介護が必要な方向け。 | |
| グループホーム | 認知症の高齢者が少人数で共同生活する施設。家庭的な雰囲気の中で支援を受けられます。 | |
| 【公的施設】 | ||
| 特別養護老人ホーム(特養) | 要介護3以上の方が対象。生活全般にわたる介護が提供され、費用負担も比較的抑えられます。 | |
| 介護老人保健施設(老健) | 医療ケアとリハビリに重点を置いた施設。家庭への復帰を目指す中間施設として活用されます。 | |
| 介護医療院(介護療養型医療施設) | 長期的な医療的ケアが必要な高齢者を対象とした医療施設です。 |
※市や県などのホームページで有料老人ホームの一覧と金額目安、入居条件などを公開しているところもありますので、ぜひご参考にチェックしてみてください。
参考:大分市 令和6年 有料老人ホーム一覧表
https://www.pref.oita.jp/uploaded/life/2305660_4519526_misc.pdf
実際いくらかかる?使える制度はある?

「結局、毎月どれくらいかかるんですか?」というご質問はとても多くいただきます。大分市だと、有料老人ホームは月15万円程度がひとつの目安になります。初期費用が必要なところもあれば、月額のみのところもあります。また、施設の家賃に加えて、毎月の介護保険の負担額、医療費、食費、管理費、光熱費などがかかります。
費用に関しては、まず年金額や預貯金の状況を把握しておくことが重要です。急な決断を避けるためにも、普段からご本人とご家族で話し合っておくと安心ですよ。
※なお、施設費用の捻出が難しい場合には、生活保護制度を利用して入所を検討するケースもあります。ただし、生活保護は「生活が著しく困難である」と認められた方が対象となるため、すべての方が受けられる制度ではありません。該当するかどうかは、収入や預貯金などの状況をふまえて慎重に判断されます。
施設の種類や費用、選び方について具体的な選択肢が見えてきたことで、娘さんの中には確かな安心感が芽生えていました。
父のことをしっかり聞いてもらえて安心しました!私ひとりでは、ここまで調べるのは難しかったと思います。


ご家族の想いや不安をお聞きしながら、患者さんそれぞれに合った選択肢を一緒に探すことが、私たちの役割だと思っています。何か迷われることがあれば、またいつでも相談してくださいね。
まとめ
当院では、退院後の生活をより安心・安全に過ごしていただくために、患者さんの状態やご希望に合わせてご提案を行っています。事前に患者さんやご家族にお話を伺い、体の状態や生活環境、ご希望に応じて、最適な選択肢をご案内するようにしています。
少しでも不安がある方は、当院のソーシャルワーカーまでお気軽にご相談ください。
