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第33回大分県病院学会 抄録


第33回大分県病院学会/大分県別府市/2015.11.8

【シンポジウム】リハビリテーション部におけるリスクマネジメントの取組み〜安全・迅速に行動できるセラピストの育成を目指して〜

リハビリテーション部 理学療法室長  梅野 裕昭 

【はじめに】
リスクマネジメントは事故の発生防止だけでなく、発生時や発生後も含む一連の取組みであり、患者・家族、職員の安全確保、医療の質の保証、組織を損失から守ることを目的とする。リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会によると、リハビリテーションは本質的にハイリスクの分野とされ、対象の多くが運動器の障害を有しており、全身的は合併症のある方も少なくない。しかし、転倒や合併症のリスクを恐れてリハビリテーションを実施しなければ、廃用に陥り結果的に対象者の不利益を生じてしまう。高いリスクを負いながら、心身機能、活動、社会参加の獲得を目指さなくてはならないという点にリハビリテーションの特殊性がある。本シンポジウムでは、リハビリテーションにおけるリスクマネジメントの特徴や現状を整理しつつ、当院における取組みを紹介したい。

【大分中村病院の紹介】
当院は19診療科260床の二次救急指定病院であり、平成28年12月で開院50年を迎える。急性期病院の役割を果たす一方で、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟を有し在宅・社会復帰に向けた集中的なリハビリテーションにも開院以来取り組んでいる。現在、リハビリテーション部は理学療法士34名、作業療法士22名、言語聴覚士5名の合計61名が在籍し、平成26年度のリハ処方件数は1761件である。

【リハビリテーション医療におけるリスクマネジメント】
リハ医療におけるリスクマネジメントの対象として、転倒・転落、治療訓練に伴う外傷、誤嚥・嘔吐、患者取り違え、時間管理、記録、接遇などが挙げられる。特に廃用予防と早期ADL獲得が求められるリハ医療において、移乗・移動動作の獲得は大きな目標の一つであるが、リハの介入により心身機能・活動性が高まることで転倒・転落の危険性が増えるという性格を持つことから、厳密なマネジメントが求められる。また、対象の多くは高齢者であり、当院でも65歳以上が75%、75歳以上が55%である。高齢者の場合、リハ対象疾患だけでなく複数の疾患をもち症状が急変することも少なくない。更に、当院リハ職員の平均年齢は28.3歳と若く、経験4年未満が全体の46%占め知識・技術、コミュニケーション能力の未熟さは否めない。このような背景から、リスクマネジメントを効果的に実践するためには、施設の特徴に応じたシステム構築と人材育成が必須である。

【リハビリテーション部での取り組み】
KYTの推進
危険予知トレーニング(Kiken Yochi Training:KYT)は、危険を予測し察知できる能力を高めるトレーニングの1つである。当院のリハ対象の特徴や過去のインシデントレポートの事例を踏まえ、ミーティング・部内研修で試みている。
急変時対応
急性期であり多数の疾患を対象にしていること、多くが高齢者という点から、急変時の迅速な行動と感受性を高める目的でBLS、ICLS講習会への積極的な参加を進めている。BLSはリハ職員全員受講を原則とし、ICLSも9名受講している。
治療・介護技術の共有
実務年数による個々の技術格差を補う目的で、当院での代表的疾患の治療過程や起居・移乗などの介護技術に対し、マニュアル化を進め知識・技術の共有を図っている。

【まとめ】
リハ医療は、セラピストの治療訓練のみで達成されるものではなく、本来、多職種連携によるチーム医療により成り立つものである。リスクマネジメントも同様であり、安全且つ安心にリハを提供するためには、医師・看護師の協力は欠かせない。またリスクに対し冷静に対応できるためには、職員が肉体的・精神的に安定していることが必要であり、職場での健康管理に対する部門管理者の役割は大きい。今後も部内で試行錯誤しながらリスクマネジメントの体制を整え、質の高いリハ提供と人材育成に努めたい。

【参考文献】
・日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会編:リハビリテーション医療における安全管理・推奨のためのガイドライン,医歯薬出版
・亀田メディカルセンター編集:リハビリテーションリスク管理ハンドブック,メジカルビュー社
・宮越浩一編集:高齢者リハビリテーション実践マニュアル,メジカルビュー社

2015年11月25日(水) No.921 (学術活動::抄録)

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