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第29回大分県病院学会 抄録


第29回大分県病院学会/大分県別府市/2011.11.20

シリンジポンプのヒストリ機能からわかったヒヤリハット事例

臨床工学部
○池田和輝、江島修一、小手川雅弘、宮崎秀男

【はじめに】
シリンジポンプ(TERUMO社製 TE-331S)を用いたインスリン製剤を投与した症例において、血糖コントロールの困難な症例を経験したので、シリンジポンプの流量精度点検を行うと共に、ヒストリ機能を利用し使用状況からわかったヒヤリハット事例を報告する。
【方法】
テルモポンプ用輸液セット、テルモ50mlシリンジ、翼静針、水道水、メスシリンダーを使用し、メーカー推奨定期点検方法にて流量精度点検を行った。また、シリンジポンプのヒストリ機能を利用し、日付、時刻、量、積算値、動作履歴を経時的にリストアップし検証した。
【結果】流量精度点検の結果、誤差は基準値範囲内(±3%以内)であった。シリンジポンプのヒストリ機能を利用し検証した結果、投与開始時のプライミングの手技に早送りスイッチが使われていないこと、投与開始1時間半後に押子・クラッチ警報が出ていること、同一時刻に残量・閉塞警報が繰り返し出ていることなどがわかった。
【考察】
シリンジポンプの流量精度には問題がなく、使用方法におけるヒューマンエラーの可能性が示唆された。シリンジポンプのヒストリ機能を利用した検証結果から早送りスイッチを使用した履歴が全くなく投与開始1時間半後押子・クラッチ警報が履歴で確認されたことから、シリンジセット時の隙間を取らないまま開始しているため、この間薬剤が投与されてない可能性が高く、セット時の隙間による誤差が、影響したと思われる。また、同一時刻に残量・閉塞警報が繰り返し出ていることから、問題を解決しないで投与を開始していることがわかった。
【まとめ】
今回、経験した血糖コントロールの困難な症例は、シリンジポンプの誤った使用方法によるヒヤリハット事例であることがわかった。ヒストリ機能を利用した使用状況の検証は、ヒヤリハット事例の分析に有用であることがわかった。ME室では、対策として事例が発生した当該部署において詳細を説明し、実際にシリンジポンプを用いて早送りスイッチを使用したスタンダードなプライミング手技を提案した。今後、ME講習会・新人研修の開催時に、実際に院内で起きた事例として報告・注意喚起し、看護部安全対策委員会と連携し手技の統一化を図っていきたいと考える。
2011年12月05日(月) No.687 (学術活動::抄録)

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