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第71回九州山口薬学大会／大分県別府市／2009.11.22-23
当院での脳梗塞患者に対するクロピドグレルの処方状況、効果および副作用
薬剤部 桑田悦子
【緒言】
クロピドグレルは、ADP受容体拮抗薬であり、チクロピジンより低容量で安全性に優れる薬剤を目的として開発された抗血小板剤である。しかしながら、その効果には患者間にばらつきがあることが知られている。今回、当院での脳梗塞患者に対する治療薬としてのクロピドグレルの処方状況、その効果及び副作用について調査を行ったので報告する。
【対象および方法】
期間：2008年7月〜2009年7月
対象：当院に入院した脳梗塞患者79名
年齢：39歳〜97歳
性別：男性53名、女性26名
測定方法：NBS HEAMA TRACERA�困鰺僂い謄�ロピドグレル服用開始後10から14日に血小板凝集能を測定した。Grade０および�気鮴犠錙↓兇�よび�靴鯰郷福◆櫚気�よび−�兇鯆祺爾箸澆覆靴拭�
【結果】
当院では新規入院患者はすべてクロピドグレルが処方されていた。また、そのうち高齢者で体重の少ない患者はクロピドグレル50mgが処方され、それ以外の患者はクロピドグレル75mgが処方されていた。また副作用発現例のみ処方変更されていた。頸動脈狭窄のある患者は低用量アスピリンが追加されており、心房細動のある患者はワルファリンカリウム（WF）が処方されていた。
患者79名中23名が脳梗塞再発患者であり、再発時にクロピドグレルが処方されていたのは、9名であった。クロピドグレルが処方されていなかった14名のうち8名に入院後クロピドグレルが追加処方された。
血小板凝集能は、脳梗塞患者45名と脳梗塞再発患者19名について分析した。また、クロピドグレルの投与量の違いによる分析も行った。
脳梗塞患者では、Grade�供�4名（8.9％）、�機�5名（11.1％）、0：18名（40.0％）、−�機�6名（13.3％）、−�供�12名（26.7％）であった。また、脳梗塞再発患者ではGrade�供�2名（10.5％）、�機�4名（21.1％）、0：5名（26.3％）、−�機�5名（26.3％）、−�供�3名（15.3％）であった。
クロピドグレル75mg患者は42名でGrade��:2名(4.8％）、�機�9名（21.4％）、0：10名（23.8％）、−�機�10名（23.8％）、−�供�11名（26.2％）であった。クロピドグレル50mg投与患者は12名で�供�2名（16.7％）。�機�1名（8.3％）、0：7名（58.3％）。−�機�0名（0％）。−�供�2名（16.7％）であった。
いずれの群でも、血小板凝集能にばらつきが見られた。
クロピドグレルの副作用は発熱が1名に見られ、その後服用薬が低用量アスピリンに変更された。カリウム上昇も1名に見られ、ポリスチレンスルホン酸Caを服用しながらクロピドグレルは続行されていた。また、発疹が1名に見られ、低用量アスピリンおよびWFに変更された。しかしながら、クロピドグレルでは、チクロピジンで多くみられる血球減少、肝機能悪化は認められなかった。
【考察】
今回の結果よりクロピドグレルは当院脳外科においてもっとも多用される薬剤であることが明らかとなった。また、発生した副作用の症例は少なく、安全性においてもチクロピジンのように重篤な副作用は認められなかった。
従来、クロピドグレルの効果について抵抗性の存在が認められている。その原因として患者の遺伝子多型、薬物相互作用などが挙げられている。一方、クロピドグレルの活性代謝物については、体内動態があきらかにされておらず、75mg以上増量はできないことになっているが、400mg以下の用量では用量依存性に効果が増強するという報告もある。今回の結果も50mg投与群より75mg投与群の方が血小板凝集能は抑制された症例が多い傾向が見られた。従ってクロピドグレルをさらに増量することによりその効果が増強される可能性は否定できない。しかしながら、一方で今回の結果からクロピドグレルにより血小板凝集能が抑制されない患者の存在も確認できた。
今後クロピドグレルが安全かつ効果的に服用されるためには、その抵抗性についてさらなる追及が必要であると思われる。
2009年12月09日（水）
No.567
(学術活動::抄録)
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