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第26回大分県病院学会 抄録


第26回大分県病院学会/大分県別府市/2008.11.24

シンポジウム
医療崩壊から再生への取り組み〜急性期〜

理事長 中村太郎

医療といっても、慢性期、回復期、亜急性期、急性期の分野があり、そのどれもが、地域の安心や安全のために必要不可欠です。大分中村病院は、大分市の中心部に位置し、半径5キロ以内には大分赤十字病院、大分県立病院、大分医師会立アルメイダ病院という公立の急性期病院が存在しています。ベッド数は260床(ICU6床、回復期リハビリテーション病棟23床含む)、平均在院日数17.5日、年間救急搬送数1800台/年、手術件数1500件/年、常勤医数31人)が現在の状況です。「医療による社会貢献」を理念として、二次救急医療やDMATに参加するなど救急医療に力を入れています。一方で、一般にイメージされる急性期病院とやや趣を変え、リハビリテーションと緩和ケア、障害者スポーツへの支援など、病気や障がいを持った方が地域で暮らしていくのをサポートしようとしています。また、医療は社会共通資本という考えから、社会医療法人への転換を目指して準備を進めています。同じく理事長を務めている別府市に本部のある社会福祉法人「太陽の家」と連携を深め「取り残される人のいない社会」、言い換えるとソーシャル インクルージョンの実現を目指しています。
さて、言い尽くされた感はありますが、医療費抑制の政府基本方針の中、度重なる診療報酬の改定による減収、「療養病床削減計画」「後期高齢者医療制度」など、くるくる変わる医療政策に振り回され、さらに医師不足、看護師不足などによる診療中止や病棟閉鎖など、「あまりにも現場を知らない行政」に医療、特に地方での医療は疲弊しきっています。言うまでも無く医療の相手は「人」であり、医療の現場を担っているのも「人」ですが、悲しいことに今の行政は「数字」を相手に政策を決めています。さらにモンスター患者や未収の問題など、マスコミの影響もあってか医師と患者さんの関係も大きく変わってきました。この数年間で日本が大切にしてきた「絆」や「信頼」といったものが急速に失われ、弱肉強食や商業主義といった、本来は医療の対極に位置すべき考えが医療を蹂躙している感を強く持っています。
その中で補助金のない民間病院が、設備投資や人員の確保に多額のコストがかかる「急性期医療」を医療の質を維持向上させながら担っていくのは、並大抵のことではありません。
私の病院の周囲では、最近、マンションがたくさん建設されています。郊外での車が必要な戸建住宅から、歩いて生活可能なコミュニティを求め、これらのマンションに移り住む後期高齢者が増えていると聞きます。最近は90歳代の方の来院も珍しいものではなくなってきました。にもかかわらず国は病院から高齢患者を追い出すような政策に躍起になっています。
高齢化社会の現実の中で、救急医療のみならず脳卒中や心疾患や肺炎後のリハビリテーション、緩和ケア、高齢者施設、障害者施設など地域に「安心と安全」を提供できる大分県の医療体制作りを本シンポジウムで議論できればと思います。
2008年12月03日(水) No.530 (学術活動::抄録)

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