「‘04日本臨床スポーツ医学会学術委員会公開シンポジウム」が2月26日(木)東京で開催された。当院よりリハビリテーション部 齊藤健夫(リハビリテーション体育士)が参加し、その報告会があった。
「スポーツと医療経済:運動習慣は医療費を削減できるか〜」が基本テーマであり、スポーツを医療費の視点から見直すことで医療経済への影響がどのようにあるかを考察してみようと言うわけだ。
今、日本の現状は運動関連疾患医療費が医療費の16%を占ているのに対し、外来患者における生活習慣病指導管理料の外来医療費に占める割合はわずか0.17%である。これは、適切な運動処方を出せる医師が少ないことも要因のひとつだ。今の日本では、ようやく予防医学から健康へ啓蒙活動を「健康日本21」により運動習慣を定着させようと政府も力を入れ始めた。米国でも「米国予防サービス委員会」・「米国疾病予防センター」などが運動の評価なり効果なりを認めて科学的根拠に基づき地域住民の健康増進サービスを提供している。
スポーツ人口は、2000年の内閣府の世論調査によると週3回以上スポーツした人は26.8%、逆に20歳以上の70%、約7000万人の人が運動不足のデータもある。運動習慣により虚血性心疾患、高血圧症、糖尿病、大腸がん、骨折等に運動の疾病予防効果があることも以前より解ってきている。また、運動プログラムによる一人当たりの費用は5万円ほどであるという。データでは生活習慣病の外来医療費の疾病分類からすると、高血圧で年間一人当たり18.2万円、糖尿病で27.3万円であり、やはり高額としか言いようがない。プログラミングされた適度・適切な運動を継続することで、費用効果に大差があるのだ。やはり運動の効果が医療費の削減につながること、これがシンポジウムの主旨でもある。
スポーツが国民の医療費を削減することができるか…齊藤健夫(リハビリテーション体育士)の分析による報告から少しずつ病院が何をテーマとしたらよいか、明らかになりつつある。今回、彼にとって、ひとつの報告かもしれないが、病院にとっては大きな夢をもった報告であったかもしれない。
(記事:企画広報室 茂倉敏郎 写真:リハビリテーション部 齊藤健夫)