社会医療法人恵愛会 大分中村病院

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ウロギネセンター

ウロギネセンターとは?

2018年4月より当院ではウロギネセンターを開設いたしました。ウロギネセンターでは、女性の尿もれ、頻尿、排尿困難、尿意切迫感などの女性下部尿路症状や膀胱瘤、子宮脱などの骨盤臓器脱に対し、専門的な診断、治療を行っています。女性泌尿器科とも呼ばれます。産婦人科が窓口となり、泌尿器科、骨盤底リハビリテーション科とも連携しつつ、患者さんごとに最適な治療法を提案します。 これらの疾病は直接生命に係わる病気ではありませんが、日常生活において不快感や活動制限の原因となります。適切な治療により、快適な日常生活や、行動範囲を広げることができ、結果として健康寿命の延長につながると考えています。ウロギネセンターでは患者さんの生活の質の向上を目指して様々な方面からのアプローチを推進してゆきます。

女性下部尿路症状(尿もれ、頻尿、排尿困難など)

原因や程度は様々ですのでそれぞれの患者さんに応じた治療が必要となります。動作をするとおしっこが漏れる、トイレに間に合わずに漏れる、すぐトイレに行きたくなるなどの症状はそれぞれ腹圧性尿失禁、切迫尿失禁、過活動膀胱の可能性があります。これらの症状は年齢とともに増加することが知られており、特に過活動膀胱は生活習慣病である高血圧との関連性も指摘されています。また、妊娠出産に伴う尿失禁に対しても関心が広がっています。治療としては骨盤底筋体操などの運動療法、日常生活指導、投薬治療、手術が主なもので、患者さんごとに最適な方法で対応いたします。

骨盤底筋体操

ウロギネセンターでは医師、理学療法士、臨床検査技師を中心とした骨盤底リハビリテーション科を開設し、姿勢、呼吸法、生活指導などを含めた骨盤底筋リハビリテーションを行っています。腹圧性尿失禁、過活動膀胱、切迫尿失禁、軽度の骨盤臓器脱などが主な対象です。継続したリハビリテーションにより60-70%程度の改善が見込めるとされています。個人で行う個別指導、集団で行う集団指導を予約制で行っています。詳しくは骨盤底リハビリテーション科のページをご覧ください。

膀胱訓練

過活動膀胱に対して尿意をがまんする方法で、多くの報告によれば排尿回数の減少が見込まれます。副作用もありませんので積極的に取り組んで良い方法ですが、決められた手順があるわけではありません。

薬物療法

過活動膀胱では急にトイレに行きたくなる尿意切迫感、排尿回数が多くなる頻尿、トイレに間に合わず尿を漏らしてしまう切迫尿失禁などの症状がみられます。この過活動膀胱に対しては薬物療法が効果的です。ベータ3作動薬、抗コリン薬の2種類の薬を使い分けながら治療を行います。腹圧性尿失禁に対してはベータ2作動薬を用いますが効果は限定的です。漢方製剤なども有効な場合があります。

手術療法

リハビリテーションや投薬治療によっても腹圧性尿失禁の改善がみられない場合には手術を検討します。TVTやTOTといった中部尿道吊り上げ手術が腹圧性尿失禁に対して非常に有効です。下部尿路症状がみられる患者さんの中には骨盤臓器脱が原因となっている場合もあります。その場合には骨盤臓器脱の治療が優先されます。

骨盤臓器脱(膀胱、子宮、直腸、小腸など)

分娩や加齢により骨盤底の筋肉や筋膜の損傷、脆弱化のため、骨盤内の臓器(膀胱、子宮、直腸、小腸など)が下垂、脱出する状態を指します。欧米の報告では80歳までに女性の11%に対応が必要な骨盤臓器脱がみられるとされており、ありふれた病気の一つです。60-70歳代に最も多くみられますが、30歳代から生じることもあります。軽症であれば骨盤底筋リハビリテーションにて自覚症状の改善が見込める場合もありますが、次第に進行することが多いようです。仕事や趣味で強い腹圧がかかることが多い方や、便秘、肥満の方は増悪する可能性が高いとされています。保存的治療としては膣内にペッサリーを挿入して脱出を防ぐ方法が一般的に行われ、自己着脱を行う場合もあります。手術療法には多くの種類がありますが、ペッサリー管理が困難な場合やご本人の希望がある場合に行われます。

保存的治療

国内で使用される代表的なペッサリーとしてウオレスリングがあります。白色の弾力のある輪で、サイズは3㎜刻みで最適な大きさのものを膣内に挿入し、臓器の脱出を軽減します。長期間の留置では膣粘膜に炎症やびらんを生じることが多いため、当院では可能な限り自己着脱を勧めています。自己着脱が可能になれば日中のみ留置し、夜間は抜去して過ごすことができます。炎症やびらんの可能性も非常に少なくなります。自己着脱不可能な場合には2-3カ月ごとの診察、洗浄、投薬等が必要となります。

手術療法

人工メッシュを使用する手術(メッシュ手術)と使用しない手術(非メッシュ手術)があります。従来は非メッシュ手術が主流でしたが、再発が多いことが課題でした。最近ではメッシュの材質も改良され、再発の少ないメッシュ手術が次第に多く行われるようになってきました。当院ではいずれの手術にも対応できる体制を整えています。臓器脱の種類や程度に加え、年齢や合併症(特に糖尿病)、日常生活様式、仕事、スポーツ、趣味など患者さんにかかわる様々な要因を考慮した上で手術方法を決定します。当院で行う代表的な手術方法をご紹介します。

・腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)

ほぼすべてのタイプの臓器脱に適応される手術です。膣と膀胱、直腸の間にメッシュを挿入し、そのメッシュを脊椎の椎体前の靭帯に固定します。再発が最も少ない方法です。腹腔鏡による手術で2時間から2時間30分ほどの時間を要します。入院期間は全部で6日間です。

・経膣メッシュ手術(TVM)

主に膀胱瘤、子宮脱の方に行う手術です。膣から膀胱と膣の間にメッシュを留置します。手術時間は1時間程度で、入院期間は1週間ほどです。低侵襲ですので比較的高齢の方が適応となります。メッシュによるびらん形成やメッシュ露出の報告がありますが、適切なメッシュ挿入により、そのリスクは低減されます。

・非メッシュ手術

重度の糖尿病などメッシュ感染のリスクが高まる場合には非メッシュ手術が選択されます。 年齢や日常生活に照らし合わせて再発の可能性が低いと判断された場合にも非メッシュ手術の適応となります。基本的には膣式手術となりますが、臓器脱の原因に応じて手術方法は異なり、複数の手術の組み合わせで行うことがほとんどです。腹腔鏡にて子宮摘出及び仙骨子宮靭帯高位固定を行う場合もあります。代表的な膣式手術法は膣式子宮全摘、前膣壁形成、後膣壁形成、会陰形成、仙骨子宮靭帯固定、ダグラス窩形成、仙棘靭帯固定、膣閉鎖などです。

骨盤臓器脱2018年度診療実績

保存的治療 24
手術 腹腔鏡下仙骨膣固定術 20
経膣メッシュ手術
非メッシュ手術
保存的治療 24
手術 腹腔鏡下仙骨膣固定 20
経膣メッシュ手術
非メッシュ手術