社会医療法人恵愛会 大分中村病院

文字サイズ

産婦人科診療内容

子宮筋腫

一般女性の10-20%に見られる病気です。無症状の場合が多いのですが発生する場所、大きさにより症状がみられます。主な症状は月経痛、過多月経、臓器圧迫症状(頻尿、排尿困難、便秘、腰痛)などです。無症状のまま巨大になることもあり、この場合には腹部の血管を圧迫することによる血栓症のリスクが問題となります。治療法は手術、血管塞栓療法、超音波集積治療、薬物療法などがありますが、手術を行うことが一般的です。

子宮筋腫の手術

子宮温存手術

妊孕性維持を目的として子宮を温存する手術方法です。
①筋腫核出術
筋腫のみ摘出し子宮筋を縫合形成します。術後は3-6ヶ月間の避妊期間が必要です。分娩様式は通常は帝王切開分娩が推奨されます。基本的には腹腔鏡での手術を行いますが筋腫の数が非常に多い場合(10個以上)や巨大な場合には腹腔鏡補助下、または開腹手術となる場合もあります。多数の筋腫がある場合には再発するリスクが高くなります。
②TCR
(子宮鏡下筋腫核出術)
子宮内腔に突出した子宮筋腫を摘出する場合の手術です。筋腫が3㎝以下で子宮内に突出する場合に可能です。子宮内腔を子宮鏡にて観察しつつ筋腫を摘出します。1泊入院での治療となります。

子宮全摘術

子宮および両側の卵管を摘出します。卵巣は温存します。子宮にはホルモン産生能がないため、摘出後にホルモン変化による体の変調をきたすことはありません。腹腔鏡による手術を行いますが巨大な場合には術前にホルモン治療を行うこともあります。子宮は膣または臍部ポート孔より体外へ回収します。術後は3か月間ほど定期的な診察が必要となります。

子宮内膜症

主に20歳代から30歳代にみられる病気で月経痛、排便痛、排尿痛、性交痛などの原因となります。また、不妊症の主な要因の一つです。病変は卵巣(チョコレートのう腫)、骨盤腹膜、骨盤深部(深部病変)、子宮(子宮腺筋症)などにみられ周囲組織を巻き込みながら進展する場合もあります。チョコレートのう腫はがん化のリスクが明らかにされており、40代以上はリスクが高まることが報告されています。子宮内膜症の主な原因は月経血の骨盤内逆流と考えられていますが免疫系や遺伝的な要因も関与しているとされています。
子宮内膜症は女性ホルモン依存性の疾病であり、放置すれば病変の進行が見られます。早期に対応することによりその後の重篤化を予防する可能性が指摘されています。妊娠によるホルモン環境の変化で内膜症病変は軽快することが明らかとなっており、妊娠中に病変が消失する場合もあります。そのためか近年の妊娠出産年齢の上昇と相まって、子宮内膜症患者さんは増加傾向にあるようです。

子宮内膜症の治療法

ホルモン療法、手術療法、一般投薬治療を組み合わせて治療を行ってゆきます。痛みの軽減、不妊症治療、卵巣病変への対応などの目的や症状、年齢に応じた治療方法を選択してゆきます。

ホルモン療法

主に症状の緩和や病変の縮小を目指して行われます。一般不妊治療においては、ホルモン療法は無効とされています。
低用量エストロゲン
プロゲステロン合剤(LEP)
ピルと同じように服用します。含有成分に違いで数種類の製剤があります。
黄体ホルモン剤
数種類の製剤があります。
GnRHアナログ製剤
卵巣機能を抑制することにより効果を発揮します。

手術療法

腹腔鏡による手術を行います。病変部の完全な摘出を目指した手術を行います。チョコレート嚢腫の嚢腫核出術では正常卵巣組織を可及的に温存するために特に繊細な手術手技が求められます。癒着剥離や骨盤病巣の除去は症状の緩和や、不妊治療成績の向上に寄与します。手術療法のみでは再発の可能性があるため、直ちに妊娠を希望しない場合には再発防止を目的として術後ホルモン治療を行う場合があります。

卵巣腫瘍

卵巣には様々な種類の腫瘍(できもの)が発生することが知られています。最も多い腫瘍は皮様嚢腫と呼ばれる腫瘍で卵巣にある卵より発生し、卵巣特有の腫瘍です。脂肪、毛髪、骨、歯、皮膚、神経、甲状腺組織などを含み約10%は両側卵巣に病変が見られます。その他に漿液性腺腫、粘液性腺腫、線維腫、莢膜細胞腫、顆粒膜細胞腫など多彩な腫瘍の発生を見ます。卵巣腫瘍のうち、悪性のものは卵巣がん、中間的な性質を有するものは境界悪性腫瘍と呼ばれます。当院では良性卵巣腫瘍の治療を行います。
卵巣腫瘍の症状は通常はほとんどありません。検診で指摘されることの多い疾患です。
卵巣は親指大の臓器ですが、腫瘍のため大きくなると捻転(ねじれること)しやすくなります。6-7㎝以上の大きさになると捻転の可能性が高まります。急に下腹部に強い痛みを自覚する場合には卵巣腫瘍捻転の可能性を考慮する必要があります。

卵巣腫瘍の治療法

治療法は現時点では手術により取り除くことしかありません。良性腫瘍に対しては腹腔鏡手術による治療を行います。腫瘍のみ切除し正常卵巣組織は温存しますが閉経後や腫瘍が大きな場合には卵巣ごと摘出します。

骨盤臓器脱

骨盤底筋の弛緩や骨盤内の支持組織の脆弱化が原因で骨盤内の諸臓器(子宮、膀胱、尿道、直腸、ダグラス窩(小腸))の下降や脱出が見られる状態です。日常生活が制限される原因となり、尿漏れなどの排尿障害、排便障害をきたす場合もあります。米国の報告では80歳婦人の11%に治療が必要な骨盤臓器脱が見られるとされています。40歳代からの発症も稀ではありません。適切な対応により不自由ない生活が可能となりますので早めの医療機関での相談を勧めます。

骨盤臓器脱の保存的治療

ペッサリー
膣内にシリコン製のリング状のペッサリーを装着することにより臓器の脱出を防ぎます。当院ではウオレスリングとマイレックスペッサリーを使用しています。可能であれば自己着脱による管理をしていただいています。
骨盤底筋リハビリ
もともと尿漏れ対策として提唱された運動療法です。骨盤底筋である肛門挙筋(恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋、腸骨尾骨筋)の収縮、弛緩を繰り返すことにより、筋の肥大と骨盤内筋群との調和のとれた動きを促進し、尿漏れ改善に有効です。骨盤臓器脱の進行阻止にも有効性が認められています。当院では骨盤底リハビリテーション科を新設し女性理学療法士による指導を行っています。

骨盤臓器脱の手術療法

骨盤性器脱の手術療法障害を受けた支持組織を修復する方法です。組織そのものを修復、補強する方法とメッシュを用いて臓器を支持する方法とがあります。当院では年齢、合併症、病状、生活習慣などに基づいて、腹腔鏡下メッシュ手術(腹腔鏡下仙骨膣固定術 LSC)、経膣メッシュ手術(TVM)、メッシュを使用しない経膣手術(子宮全摘、膣壁形成、前膣閉鎖など)のうち最適な方法を選択して治療を行っています。骨盤臓器脱は手術後に再発する可能性がありますが、一般的には腹腔鏡下メッシュ手術が最も再発率が低いとされています。

子宮頚部上皮内病変(上皮内癌、高度異型上皮)

殆どの場合、子宮がん検診での異常をきっかけに病変が見つかります。子宮頚部を円錐形に切除する治療を行います。下平式高周波切開装置を用いて、子宮頚部の正常組織の損失が可能な限り少なくなるように病変の切除を行います。円錐切除後の妊娠の際には破水や早産のリスクの上昇が報告されており、頚部組織の切除が多いほどリスクが高まるとされています。切除後の創部の治癒にはおよそ1-2カ月を要します。