10月29日(火)当院6階研修室において「令和元年第1回大分中村病院救急症例検討会」を開催しました。この会は、当院への救急搬送などで日頃お世話になっている消防署職員の皆さんと院内スタッフが、より深く連携を図る事を目的に開催したものです。大分市消防局、由布市消防局本部から救急隊の皆さんが、当院からは医師、看護師、ソーシャルワーカーなど、合わせて45名が参加しました。また、オブザーバーとして大分赤十字病院 救急総合診療科部長の高橋健先生にもご参加いただきました。
はじめに、中村理事長による開会挨拶の後、当院形成外科部長の芳原聖司医師が「前腕切創の一例」をテーマに、ガラスを殴ることによって受傷した症例について発表しました。発表では、ガラスによる創傷の問題点として、程度が様々で来院して検査するまで本当の重症度が分かりにくい点をあげ、本症例を通して、ガラスによる創傷ではどのような点に注意すべきか、搬送後にどのような処置が行われているのかについて詳しく報告しました。芳原医師は、ガラスによる創傷で致命的になることは少ないが、まずは動脈損傷と出血性ショックの可能性を考え対応すること。またプレホスピタルケア(病院前救護)における適切な止血法や圧迫止血・患肢挙上の重要性について再確認してほしいと話しました。
続いて、当院副院長の渡邉充医師が「心電図に関するQ&A」をテーマに、心電図の重要性や読み方の基本について発表を行いました。発表では、2018年に改訂された「急性冠症候群ガイドライン」を基に、患者による救急車要請や救急隊による対応、Primary PCIの推奨とエビデンス、どんなときに虚血性心疾患を疑うのかなどについての説明がありました。また、心電図の判読では、実際の心電図波形や血管造影検査の動画を用いながら、異常な心電図波形から読み取れる疾患について当時の患者の状況等と共に詳しく解説しました。渡邉医師は、心電図を理解してその判読になれることは適切な医療機関への搬送の一助となるため、正常例・異常例にかかわらず、多くの心電図所見をみてほしいと話しました。
それぞれの発表後には活発な意見交換も行われ、最後に、大分赤十字病院の高橋健先生に総括として講評を頂きました。アンケートからは「形成外科の症例検討会を経験したことがなかったので、大変興味深かった」「知らなかったことが多く、自分の知識を増やすことができた」「心電図は私にとって苦手な分野のため、症例を交え、ポイントを教えて頂き参考になりました」などの感想を頂きました。
大分中村病院では、こうした症例検討会を定期的に開催し、救急医療の質の向上と大分市の安心安全に努めてまいります。

芳原 聖司医師

渡邉 充医師
(総務部 羽田野)