令和元年9月12日(木)に「がん化学療法・緩和ケア勉強会」が開催されました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど30名程が参加しました。
はじめに小野薬品工業株式会社の溝上 紘さんより「がん化学療法における悪心・嘔吐の予防」をテーマに話がありました。抗がん剤副作用の中で、患者さんにとって最もつらい症状の一つといわれる悪心・嘔吐は、持続すると脱水、電解質異常や低栄養を引き起こす場合があり、患者さんのQOLおよび全身状態を維持し治療を継続するためには、悪心・嘔吐のコントロールが必須であると話しました。その他にも国内の制吐療法の現状や抗がん剤による嘔吐のメカニズム、制吐薬適正使用ガイドラインから抗がん薬に対する制吐療法や催吐性リスク分類などについて詳しく紹介して頂きました。
次に、外科部長の麓 祥一医師より「消化器症状(悪心・嘔吐)」をテーマに話がありました。悪心・嘔吐を訴えている患者さんの仮想症例をもとに、悪心・嘔吐の原因はどうやって評価したらよいか、薬は何を使ったらよいか、どのようなケアのポイントがあるか、どうのように説明を行えばよいかなどについて、皆で一緒に考えながら勉強していきました。
まず、悪心とは「吐きたくなるような切迫した不快な自覚症状」で、嘔吐とは「消化管内容物を反射的に口から出すこと」と定義を話し、悪心・嘔吐の病態生理、主な原因、治療、制吐薬の選択、副作用と対策などについて詳しく説明しました。また、悪心・嘔吐のケアについてはコミュニケーションと環境調整が大切と話し、患者さんに悪心・嘔吐の原因を十分に説明すること、患者さんが許容しうる目標を相談すること、見舞いの花や食事の匂いなど原因・誘因するものを除去することなどを紹介しました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さんに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。
(経営戦略部 羽田野)