はじめに「サルコペニア~がん患者・運動器疾患における影響を含めて~」をテーマに話がありました。
「サルコペニア」とは、筋肉量が低下し、筋力または身体能力が低下した状態をいいます。サルコペニアに陥る高齢者の中には、痛みの苦痛により食欲や活動性が低下し、十分な栄養摂取やリハビリテーションが実施できないケースも少なくないそうです。つまり、痛みとサルコペニアは悪循環を生じやすく、サルコペニアの患者さんにおいては、痛みの評価やコントロール、治療、リハビリテーション、栄養改善を同時に実施していくことが重要で、がん患者さんにおいてはオピオイド(医療用の麻薬)の副作用による食欲低下も低栄養の原因になるといった話がありました。それらを踏まえて講演では、サルコペニアの要因や危険因子、メカニズム、診断といった基礎的な情報から、がん患者におけるサルコペニアと悪液質、サルコペニアと摂食嚥下障害、骨粗鬆症におけるサルコペニアの影響など、サルコペニアに関する情報が幅広く紹介されました。
続いて「がん性疼痛の評価と治療」をテーマに外科部長の麓 祥一医師より話がありました。
このテーマは2回に分けて勉強することになっており、後半部分の今回は、オピオイドの使い方と注意点や、薬物以外の対処策としてどのような方法があるのかなどについて、皆で一緒に考えながら勉強していきました。まずオピオイド導入の際には副作用への対策を行うことが重要とし、悪心・嘔吐、便秘、眠気といった副作用について詳しく説明しました。また、残存・増強した痛みの治療については、持続的な痛みがコントロールできていない場合と、持続的な痛みはコントロールできているが突出痛がある場合を区別して対応することが重要と話し、持続痛や突出痛の治療についても詳しく紹介しました。その他にもがん疼痛の非薬物療法や痛みを和らげるケアについて詳しく説明しました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さんに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。