平成31年4月11日(木)に「がん化学療法・緩和ケア勉強会」が開催されました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなどが参加しました。
はじめに中外製薬株式会社の土岐憲二さんより「がん化学療法の副作用対策とケア 皮膚障害」をテーマに話があり、主に抗がん薬の副作用で現れる「手足症候群(HFS:ハンドフットシンドローム)」の対策とケアについて詳しく説明して頂きました。手足症候群は、抗がん剤によって手や足の皮膚の細胞が障害されることで起こる副作用です。手や足の赤みや腫れなどが主な症状で、進行すると痛みを伴うようになり、皮膚にひび割れ、ただれや傷が生じたり、爪が割れたりします。
今回の勉強会では、手足症候群の発症を防いで症状を悪化させないための日常生活の工夫や、症状を最低限に抑えるための皮膚ケアとして保湿の重要性について詳しく紹介しました。また、患者さんへの心理サポートについても話し、患者さんの自覚する副作用について気軽に相談してもらい、症状に対して共感的に接するよう努めることが重要と話しました。
次に、外科部長の麓 祥一医師より「緩和ケア概論~患者の視点を取り入れた全人的なケアを目指して~」をテーマに話がありました。まず、ホスピスや緩和ケアの歴史を振り返りながら、緩和ケアの定義について学びました。さらに緩和ケアにおける課題として、「苦痛(つらさ)を和らげること」「患者さんの気がかりに気づくこと」「様々な場面で提供できる体制があること」の3点を取り上げ、それぞれについて詳しく説明がありました。麓医師はまとめとして「緩和ケアは病気の時期や治療の場所を問わず提供され、苦痛(つらさ)に焦点があてられ、つらさとともに、病気に伴う患者さんの生活の変化や気がかりに対応することが大切です。また、さまざまな場面で切れ目なく、緩和ケアを受けられることも大切です」と話しました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さんそれぞれに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。
(経営戦略部 羽田野)