3月10日(日)、当院6階研修室において「第2回食道がん患者会」を開催致しました。この会は、食道がんの治療をされている患者さんやご家族、また、ご家族を食道がんのため亡くされたご遺族の方を対象に、日頃の悩みや今の想いを共有して頂く場です。当日は雨にもかかわらず約40名の方にご参加頂きました。
まず初めに、理事長の中村太郎より挨拶があり、次いで大分大学医学部附属病院 消化器・小児外科学講座の柴田智隆先生に「大分県における食道癌治療の現状」をテーマに講演をして頂きました。
講演の冒頭、食道がんの現状として、年間約2万人の方が食道がんに罹り、約1万人の方が亡くなっていることを報告すると共に、食道がんの危険因子や食道がん治療における臨床病期別の治療方針と生存率等についてお話がありました。また、大分県における食道がん診療の現状として、食道疾患の症例数や縦隔鏡を用いた非開胸食道癌手術、光線力学療法、術前化学療法、周術期がんリハビリテーションなどについて詳しく紹介しました。柴田先生は最後に「食道がんという病気は生活習慣病ではないが、飲酒や喫煙など、かなりの部分でその方のライフスタイルに依存するところがあります。身近な方でそういった方がいらっしゃる場合には、定期的に病院を受診して頂いた上で最低年1回の内視鏡検査をおすすめします」と参加者の皆さんに呼びかけました。
次に、当院外科部長で本会の責任者でもある外科 麓祥一医師より、当院で行われている「がんリハビリテーション」について講演がありました。講演の冒頭、当院でのがん治療やがんリハチームについて紹介した後、当院のがんリハビリテーションについて動画にて詳しく紹介しました。がんリハビリテーションの目的や流れ、がんリハチームの取り組み、実際に当院で抗がん剤治療と並行してがんリハビリテーションを受けている患者さんのインタビュー、がん患者サポートの取り組み紹介といった内容でした。麓先生は最後に「当院では、がんと診断された早期の段階から全ての時期にがんリハビリテーションを提供しています。現在では、大学病院消化器外科と連携をして、周術期のがんリハビリテーションを当院で行っている患者さんがたくさんいます。今後は地域の病院との連携を強化して、当院の強みを生かし、地域のがん治療に貢献していけるよう努力したい」と話しました。
次に、講演からフリートークに移る前に、リハビリテーション部理学療法士の梅野裕昭、言語聴覚士の竹内希、平山志帆が参加者の皆さんと一緒に簡単な体操と、会話が弾むようにと「口の体操」を行いました。その後、スタッフも各テーブルに交じり、参加者全員でフリートークを行いました。
2時間余りの会でしたが、参加された患者さんやご家族、ご遺族の方にとって有意義な時間を過ごしていただけたかと思います。今後も参加者の皆さんからのご意見等を元に、全国に発信していける食道がん患者会を目指し、開催・運営して参ります。

柴田智隆先生

麓祥一医師

講演の様子

フリートークの様子

がんリハチームによる体操

体操の様子
(経営戦略部 羽田野)