社会医療法人恵愛会 大分中村病院

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平成30年度第2回法定火災訓練・院内災害訓練を終えて

平成31年2月24日(日)、年2回実施している法定火災訓練および当院において初の試みとなる大規模災害に併発した火災訓練を執り行いました。
災害想定は、大分県が震度6強の地震に襲われ、地震直後院内2か所から出火(通電火災)し、短時間の停電を認めたものの、津波の心配はなく水・電気・ガスなどいわゆるライフラインの障害も認めず院内の医療活動は継続可能という設定でした。
今回の訓練における目標は、まず「アクションカード」を活用した災害の初動ができること、そして「チェックシート」を活用した被害報告および院内被災状況のとりまとめを行うことでした。「アクションカード」は、判断を導き行動を促す事前の指示書のことです。このカードは、災害が起き混乱しがちな状態でも、適切な行動ができることを目的に簡潔かつ明確にまとめられ、部署や役割に応じてその内容がアレンジされます。「チェックシート」は、各部署の現状や被災状況などの情報を、院内の災害対策本部へ効率よく伝達する方法として作成されたものです。今回は、この2つの目標を達成しつつ部署ごとにシナリオを設定し、それぞれの災害に対する訓練を実施しました。例えば、揺れにより転倒した負傷者に対する応急処置を行った部署もあれば、検査や治療の中断を行い職員と患者さんの安全を迅速に確保するシナリオを作った部署もありました。
火災訓練においては、火災時の対応で重要な「通報」「避難」「消火」というポイントを押さえつつ、西4階病棟から1つ下の階への患者避難、地下作業療法室から1階理学療法室までの1つ上の階への患者避難を行いました。通常、火災時の避難は同階の防火扉を2か所通過した場所への避難(2区画水平移動)が推奨されますが、地震の際は建物の損壊やガラス片の散乱などで同階通路が安全に使用できるとは限らないため、敢えて今回は上下階への垂直移動訓練を行いました。階段を移動することが可能な患者さんは、お互いに手を引き合い安全に移動していただき、それができない患者さんは、掛布団を使用して作った簡易担架を用い搬送を行い安全に避難することができました。訓練を通して、火災を伴う地震の際は通常の火災と比較し、より安全な避難経路を選択する必要があることや、簡易担架での垂直移動には多くの人員が必要であり近隣部署との密な連携が必要であることを痛感しました。
今回、アクションカードを使用した訓練を行いましたが、概ねどの部署もアクションカードに沿った行動が行えていたようです。しかし、まだ作成したばかりのカードなので、今回の反省点や気付きを踏まえてより良いカードに改良していければ良いと思います。また、発災直後に重要な情報とそうでもない情報があることが改めてわかり、チェックシートを改良する必要性がありました。さらに、病院においては他部署で業務を行うことがよくあるため、他部署のシートの仕様も知っておく必要があると考えられました。
災害はいつ発生してもおかしくありません。年に数回行う院内訓練だけでは、実際の災害時に迅速かつ安全に動くことは困難だと思われます。今回の訓練では、各部署がシナリオを作成しました。その課程で各部署が抱える人員・建物・機器などの問題点に目を向けることができ、良い機会となったのではないかと感じました。今回の経験を通じて、各部署や職員一人ひとりが今日にも発生するかもしれない災害に対し意識を高め、今後も訓練を繰り返し、備えることが大切であると考えられます。

(災害対策委員会)