社会医療法人恵愛会 大分中村病院

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第70回 がん化学療法・緩和ケア勉強会を開催

平成31年2月14日(木)に「がん化学療法・緩和ケア勉強会」が開催されました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなどが参加しました。
はじめにメルクセローノ株式会社の浜田良孝さんより「頭頸部がん薬物療法における抗EGFR薬と副作用マネジメント」をテーマに話がありました。
EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)とは、細胞の表面に並んでいるタンパク質で、細胞が増える時のスイッチの役割を担っています。がん細胞には非常に多くのEGFRがあり、がん細胞が増えるような信号を送り続けています。頭頸部がんでは、多くの場合EGFRを過剰に発現しており、EGFRを抑えることでがん細胞が増えるスイッチを止めることを目的に開発されたのが「アービタックス(一般名:セツキシマブ)」になります。今回の勉強会では、頭頸部がんの特徴とその治療戦略と共にアービタックスの有用性や投与後の症状変化、有害事象などについて詳しく紹介がありました。また、アービタックスの副作用として、Infusion reaction(インフュージョンリアクション:モノクローナル抗体等を投与したときに発現する、時間的に密接な有害事象の様々な症状)や皮膚症状、低マグネシウム血症、薬剤性間質性肺炎をあげ、その症状や対処法などについて詳しく話がありました。
次に、外科部長の麓 祥一医師より「コミュニケーション」をテーマに話がありました。まず、基本的なコミュニケーション技術として、話を聴くスキル、質問するスキル、応答するスキル、共感するスキルを紹介し、それぞれを意識して行うことと自分の言葉で伝えることが大切だと話しました。
次に悪い知らせを伝える場合のコミュニケーション技術について話しがありました。はじめに、がんの告知や再発・転移の告知、積極的治療の中止など、医師から「悪い知らせ」を伝えられる際に、患者が医師に対してどのようなコミュニケーションを望んでいるのかを調査し、まとめたものとして「SHARE」を紹介しました。SHAREのプロトコルに沿って、面談までに準備することや面談を開始した時、悪い知らせを伝える時、治療を含め今後のことについて話し合う時などの注意点や言葉遣いなどについて詳しく説明がありました。最後にコミュニケーション支援として質問促進パンフレットを紹介し、パンフレットをきっかけに重要な話をしやすくなる効果もあるので、ぜひ活用してほしいと話しました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さんそれぞれに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。

(経営戦略部 羽田野)