平成31年1月10日(木)に「がん化学療法・緩和ケア勉強会」が開催されました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなどが参加しました。
はじめに小野薬品工業株式会社の講師より「がん免疫療法の特徴と副作用(irAE)~副作用の早期発見のポイント~」をテーマに話がありました。
これまでのがん治療3本柱「手術」「放射線療法」「化学療法」は、直接がんを標的にした治療法でしたが、がん免疫療法は薬が直接がん細胞を攻撃するのではなく、もともと体内に備わっている患者さん自身の「免疫」の力を利用して、がん細胞への攻撃力を高める治療法になります。
今回の勉強会では、免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ)をがん治療の第4の柱として紹介し、その特徴や効果、irAE(自己免疫疾患関連副作用)とその発現時期、特に注意すべき副作用として「間質性肺疾患」「大腸炎・重度の下痢」「甲状腺機能障害」などについて詳しく説明がありました。また、副作用マネジメントで重要なのは「早期発見・早期対処」とし、症状が出た場合、早期に適切な対処を行うことが重症化を防ぐうえで重要と話しました。
次に、外科部長の麓 祥一医師より「がん患者の不眠」をテーマに話がありました。今回は不眠を訴えている患者さんの仮想症例をもとに、不眠はどうやって評価したらよいか、不眠の原因には何があるか、不眠に対するケアは何を行うか、薬物療法には何を用いたらよいか、患者さんからの質問にどう答えるかについて、皆で一緒に考えながら勉強していきました。
まず、がん患者さんの不眠の頻度が30~50%と高く、抑うつ、不安との関連が高いこと、また見過ごしが多いことなどが紹介されました。また、不眠の原因への対処法の一つとして睡眠衛生指導をあげ「睡眠障害対処12の指針(厚生労働省の研究班によって、睡眠障害を事前に防ぐための方法を12の指針としてまとめられたもの)」に沿って詳しく紹介しました。さらに、不眠症薬物療法の注意点や睡眠薬の離脱症状、不眠症の患者さんからよくある質問などについて話がありました。麓医師は、がん患者さんの不眠は、それそのものが患者に強い苦痛をもたらすものなので、その発見は重要と話し、また不眠の原因の除去と睡眠衛生指導を最初に行うことが大切と話しました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さんそれぞれに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。
(経営戦略部 羽田野)