平成30年11月8日(木)に「がん化学療法・緩和ケア勉強会」が開催されました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなどが参加しました。
はじめに日本ケミファ株式会社の秋葉こず恵さんより「抗がん剤薬曝露の現状、その対策について」をテーマに話がありました。抗がん剤は患者さんに適切に投与することでの効果が高い反面、取り扱う医療従事者には、変異原性(遺伝子に変異を引き起こす性質)、催奇形性(妊娠中の胎児に形態形成障害(奇形)を起こす性質)、発がん性(がんを発生させる、または発がん過程を促進する性質)など、健康に影響を及ぼす薬剤でもあるため、抗がん剤の取り扱いにはその他の薬剤にはない注意が必要とされています。今回の勉強会では、抗がん剤曝露の現状をはじめ、「がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン」の重要項目を読み解きながら、具体的な投与時の曝露対策について詳しくお話がありました。
次に、外科部長の麓 祥一医師より「精神症状~気持ちのつらさ~」をテーマに話がありました。今回は気持ちのつらさを訴えている患者さんの仮想症例をもとに、気持ちのつらさはどうやって評価したらよいか、危険因子には何があるか、薬物療法には何を用いたらよいか、どのようなケアがあるかなどについて、皆で一緒に考えながら勉強していきました。
まず、気持ちのつらさとは「幅広い概念であり、感情面における不快な体験全般を含むもの」で、「主たるものとして抑うつ・不安がある」と定義を話し、気持ちのつらさがもたらす悪影響や重症度、危険因子、評価、治療STEP、薬物療法、精神科医や心療内科医に対するコンサルテーションなどについて詳しく説明しました。気持ちのつらさの精神的サポートについては、まずはじっと患者の言葉に耳を傾けることが重要で、批判したり、価値判断したりせずに、受容的に接することが基本と話がありました。また、気持ちのつらさはQOLを低下させ治療意欲を奪うなど様々な悪影響をもたらすので、適切で速やかな対応が必要であると話しました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さんそれぞれに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。
(経営戦略部 羽田野)