社会医療法人恵愛会 大分中村病院

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第66回 がん化学療法・緩和ケア勉強会を開催

平成30年10月11日(木)に「がん化学療法・緩和ケア勉強会」が開催されました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなどが参加しました。
はじめに大鵬薬品工業株式会社の下西 浩之さんより「胃癌術後補助化学療法の投与継続性向上のために」をテーマに話がありました。まず抗悪性腫瘍剤5-FUの効果を高め、副作用を軽減することを目的として開発された経口抗悪性腫瘍剤TS-1(ティーエスワン)の成分・用法・用量・効能・効果・副作用などについて説明があり、治癒切除胃がん患者に対する術後補助化学療法としてTS-1を単剤もしくはドセタキセルと併用する治療法でどれだけ再発率に貢献できたかを検証した治験の結果等についても紹介されました。
また、術後のフォローアップとしてONS(Oral Nutrition Supplementation:経口的栄養補充)について紹介がありました。胃がん術後の患者さんは、胃の容量が減って通常量の食事がとりにくくなるのと同時に、抗がん剤の副作用による食欲不振で低体重・低栄養に陥りやすく、術後の回復を遅らせる原因になっています。ONSは体重減少やQOL低下を予防するため抗がん剤を継続しやすくなると考えられています。講演ではONSの方法や、がん患者さんへの栄養指導の効果、胃がん術後のONS介入の有効性などについて話があり、新発売のラコールNF(経腸栄養剤:経管・経口両用)抹茶フレーバーを試飲させていただきました。
次に、外科部長の麓 祥一医師より「倦怠感」をテーマに話がありました。今回は倦怠感を訴えている患者さんの仮想症例をもとに、倦怠感はどうやって評価したらよいか、薬は何を使ったらよいか、どのようなケアがあるかなどについて、皆で一緒に考えながら勉強していきました。
まず、倦怠感とは「がんやがん治療に関係した、身体的、精神的、認知的な疲労」で、「労作に比例せず、日常生活を妨げるような極度の疲労」と定義を話し、倦怠感のアルゴリズム、スクリーニング、評価、治療目標の設定、原因の治療、ケアなどについて詳しく説明しました。倦怠感の評価については倦怠感を主観的に評価することが重要で、日常生活にどの程度影響を及ぼしているのか、治療可能な倦怠感の原因を検索することが大事であり、また、治療目標の設定では、現状に見合った目標設定を患者さんや家族と一緒に考えることが大切であると話がありました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さんそれぞれに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。

(経営戦略部 羽田野)