平成30年9月13日(木)に「がん化学療法・緩和ケア勉強会」が開催されました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなどが参加しました。
はじめに小野薬品工業株式会社の溝上 紘さんより「がん化学療法における悪心・嘔吐の予防」をテーマに話がありました。抗がん剤治療による吐き気や嘔吐は比較的よくみられる副作用で、脳にある「嘔吐中枢」と呼ばれる部分が抗がん剤によって刺激されるために起こります。使用する抗がん剤の種類や量、組み合わせ、治療期間などによっても異なり、また個人差もあるので症状がまったくない場合もあります。講師の溝上さんは「患者のQOLおよび全身状態を維持し治療を継続するためには悪心・嘔吐のコントロールが必須」と話し、国内の制吐療法の現状や抗がん剤による嘔吐のメカニズム、国内・海外の制吐薬ガイドラインから抗がん薬に対する制吐療法や催吐性リスク分類などについて紹介して頂きました。
次に、外科部長の麓 祥一医師より「消化器症状(悪心・嘔吐)」をテーマに話がありました。今回も悪心・嘔吐を訴えている患者さんの仮想症例をもとに、悪心・嘔吐の原因はどうやって評価したらよいか、薬は何を使ったらよいか、どのようなケアのポイントがあるか、どうのように説明を行えばよいかなどについて、皆で一緒に考えながら勉強していきました。
まず、悪心とは「吐きたくなるような切迫した不快な自覚症状」で、嘔吐とは「消化管内容物を反射的に口から出すこと」と定義を話し、悪心・嘔吐の病態生理、主な原因、治療、制吐薬の選択、副作用と対策などについて詳しく説明しました。また、悪心・嘔吐のケアについてはコミュニケーションと環境調整が重要と話し、患者さんに悪心・嘔吐の原因を十分に説明すること、患者さんが許容しうる目標を相談すること、見舞いの花や食事の匂いなど原因・誘因するものを除去することなどを紹介しました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さまそれぞれに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。
(経営戦略部 羽田野)