社会医療法人恵愛会 大分中村病院

文字サイズ

第64回がん化学療法・緩和ケア勉強会 開催

平成30年8月9日(木)、当院6階研修室において「がん化学療法・緩和ケア勉強会」を開催しました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、チーム医療の充実を目的に定期的な勉強会を開催しております。
はじめに塩野義製薬株式会社の古田智也さんより、「医療用麻薬を安全にご使用頂くために~誤用・乱用防止、副作用対策~」をテーマにお話がありました。医療用麻薬は、がん治療において痛みを和らげるという大切な役割を担っています。がんの痛みに対しては、様々な鎮痛薬が使用されていますが、痛みが中等度または強い場合に使われるのがオピオイド系の鎮痛薬で、その中でも「麻薬及び向精神薬取締法」で規制されている薬を「医療用麻薬」と呼びます。現在では、がんと診断されたばかりの早い時期から、痛みの程度に応じて医療用麻薬やその他の鎮痛薬を積極的に使うようになっています。
講師の古田さんからは、患者さんが経験するがんの痛みの発現率や特徴、「WHO方式がん疼痛治療法」による痛みの評価、治療の目標、5項目の基本原則に基づいた薬物治療、副作用対策などについてお話がありました。また医療用麻薬の誤用・乱用防止対策についても詳しく紹介して頂きました。
次に、外科部長の麓医師より「呼吸困難」をテーマに話がありました。まず呼吸困難の定義と疫学について説明した後、呼吸困難を訴えている患者の仮想症例をもとに、呼吸困難はどうやって評価したらよいか、薬は何を使ったらよいか、どのように療養環境を整えたらよいかなどについて、皆で一緒に考えながら勉強していきました。麓医師は呼吸困難の評価で一番大切なポイントとして患者の主観的な評価を第一とすることを挙げ、その他にも呼吸不全や不安の要素を伴っているか、治療可能な原因が存在するかについて考える必要があると話しました。また、治療目標の設定では、呼吸困難を取り去ることが目標だが呼吸不全を合併している患者は薬物療法によって傾眠をきたしやすいため、呼吸困難と眠気のバランスを考えて患者・家族が満足できる目標を設定することが大事と話しました。最後に呼吸困難のケアに触れ、環境調整や酸素療法中の配慮、姿勢の工夫、不安への対応について紹介しました。麓医師は「呼吸困難のケアについては明日からでもすぐに出来ることなので、一つでも覚えてやってみてください」とスタッフに呼びかけました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さまそれぞれに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。また、「がん患者・家族のためのがんサロン『太陽のカフェ フィーカ』を奇数月の第3土曜日に開催しております。次回は9月15日(土)午後1時から3時までです。ぜひお気軽にお越しください。

(経営戦略部 羽田野)