社会医療法人恵愛会 大分中村病院

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平成30年度大規模地震時医療活動訓練を終えて

平成30年8月4日、政府における総合防災訓練として大規模地震時医療活動訓練が実施されました。南海トラフ地震および津波により四国4県と大分県、宮崎県が被災した想定での全国規模の訓練でした。大分市においては震度6弱の地震があり、停電・水道の使用が困難・建物の倒壊リスクが生じた想定にて当院も訓練に参加し、併せて院内災害対策訓練を実施しました。
災害に対しては体系的な対応が必要とされ、速やかに「災害対策本部」を立ち上げて対応すべきです。まず行うことは「安全」の確認および確保で、次に組織の「指揮・連絡・調整」および「情報伝達」を確立し、そのうえで現状の「評価」および方針決定を行います。
このことを踏まえて、まず午前中に災害対策本部設営訓練を行いました。本部は、安全で情報収集や発信がしやすく、一定の広さが必要のため医局に設営しました。本部活動が円滑に進むよう、机やホワイトボードを設置し、外部との通信可能な部屋への衛星携帯電話の設置や、院内各所や外部からの情報の受付設置などレイアウトを含めた設営訓練を行いました。概ねスムースに行えましたが、予め準備しておくべきものなどの課題もみつかりました。
午後からは災害対策本部における机上訓練にて大規模地震時医療活動訓練へ参加しました。中村院長が災害対策本部長として指揮をとり、兵庫県から来ていただいた訓練コントローラーの方が全体訓練に合わせて訓練の調整や進行を行ってくれました。
病院は災害発生時に傷病者を出来る限り受け入れ加療することが求められますが、状況によっては診療継続が困難になる場合があります。今回は、病院倒壊のリスクとライフラインの制限のため、病院避難という病院方針を決定しました。当院には240名余りの患者さんが入院されており、全員を避難させることはかなり大変です。軽症者を誘導し近隣の安全な建物(今回はコンパルホール)に避難していただき、中等症以上の患者さんはレスキュー隊などに支援していただき病院玄関、駐車場付近へ一時避難を行い、その後の搬送を待つことにしました。静岡、栃木、福岡からDMAT(Disaster Medical Assistance Team)隊が当院に派遣され、本部機能支援と患者搬送調整を担っていただきました。
ハードなシナリオでかなり混乱はしましたが、外部機関との調整の結果、徐々に患者搬送が開始されたところで訓練終了となりました。病院の方針決定や支援DMATとの連携においては比較的スムースに運び収穫でしたが、一方で多数の患者さんのとりまとめ、重症患者さんの階下への移動、患者さんの待機場所など実働的な問題が多く見つかり、今後取り組むべき課題が見えてきました。
6階研修室で行われた院内災害訓練には院内各部署の代表者が参加しました。数名のグループに分かれてフロアマップと行動カードを活用した机上訓練を行いました。災害発生時の基本である3S(Self:自分の安全 Scene:現場の安全 Survivor:被災者や患者の安全)を踏まえ、安全確認後に建物の倒壊状況やライフラインの確認、混乱する現場への対処や入院・外来患者さんへの声掛けや安否確認など具体的行動を想像しつつ、その内容が記載されているカードを選択し、経時的に並べてもらいました。現場状況につき部署ごとで報告書にまとめ災害対策本部に提出し、本部からの指示を待つところで訓練を終了しました。
災害に対するイメージがわき、今後も継続して訓練が必要であると考える参加者が多く、今後は多くの職員が参加する実働的な訓練へ発展していくべきと考えられました。あわせて、院内の防災意識をさらに高める取り組みが必要だと思われます。

災害対策本部設営訓練の様子

支援DMATとの連携

院内災害訓練

フロアマップと行動カードを活用した机上訓練

(災害対策委員会)