社会医療法人恵愛会 大分中村病院

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第63回がん化学療法・緩和ケア勉強会 開催

平成30年7月12日(木)、当院6階研修室において「がん化学療法・緩和ケア勉強会」を開催しました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、チーム医療の充実を目的に定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど約40名が参加しました。
はじめに第一三共株式会社の奥秀樹さんより、「がん疼痛緩和の基礎知識~新規オピオイド鎮痛薬の話題も含めて~」をテーマにお話がありました。がん疼痛は、がんの早期から終末期に至るまでの患者さんの痛み全てが対象となり、その中でもがん自体が直接の原因となる痛みに対しては、オピオイド鎮痛薬(モルヒネなどの医療用麻薬の総称)を中心とした薬物療法が基本となります。講師の奥さんからは、がん疼痛緩和の基礎知識として、医療用麻薬の国際使用の実態から、オピオイド鎮痛薬の使い方とその副作用、痛みの評価方法、レスキュー薬(頓服薬)の使い方、オピオイドスイッチング(医療用麻薬の種類変更)の運用例、各オピオイドの薬剤特性などについてお話がありました。また、新規オピオイド鎮痛薬としてナルベイン注、ナルサス錠、ナルラピド錠についても詳しく紹介されました。
続いて麓医師より「がん疼痛の評価と治療」をテーマに話がありました。このテーマは2回に分けて勉強することになっており、今回は後半部分になります。今回も仮想症例を通じて、オピオイドの使い方や注意点、また薬物以外の対処策としてどのような方法があるのかなどを、皆で一緒に考えながら勉強していきました。
オピオイド導入時の注意点では、副作用への対策を行うことが重要とし、主な副作用として悪心・嘔吐、便秘、眠気について重点的に説明を行いました。残存・増強した痛みの治療については、持続的な痛みがコントロールできていない場合と、持続的な痛みはコントロールできているが突出痛がある場合を区別して対応することが重要と話しました。また、突出痛がコントロールされていないと思われる仮想症例では、レスキュー薬の必要性を話し、患者さんがレスキュー薬を使いこなせるようになれば、自分で痛みへの対応ができる感覚が高まり、生活や治療への意欲向上に期待ができると話しました。最後に、非薬物療法として痛みを和らげるケアを紹介し、ケアは薬物療法と並行して行う必要があると話しました。
麓医師は「痛みを緩和することにより、睡眠、食欲、気持ちのつらさが改善し、その人らしい生活を取り戻すことができます。痛みの原因や機序を評価し、それに基づいた治療を計画することが重要です。」と話しました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者さまそれぞれに応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。

(経営戦略部 羽田野)