社会医療法人恵愛会 大分中村病院

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第62回 がん化学療法・緩和ケア勉強会を開催

平成30年6月21日(木)に「がん化学療法・緩和ケア勉強会」が開催されました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど40名程が参加しました。
はじめに「G-CSF製剤の予防的投与の意義」をテーマに話がありました。好中球減少症は多くの抗がん剤にみられる副作用です。病原菌から体を守る好中球が少なくなると、病原菌からの攻撃に対応できず、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。また、好中球減少時の発熱性疾患を「発熱性好中球減少症(FN)」と呼び、このような状態になると重篤な感染症を引き起こす可能性もあるため、好中球を増やす薬「G-CSF製剤」を事前に投与し発症を抑えることが大切になります。講師からは、Daily G-CSF製剤(グラン)と持続型G-CSF製剤(ジーラスタ)、それぞれの効能・効果の違いや、投与頻度、投与方法、主な作用、G-CSF投与後の好中球数の推移、がん化学療法におけるFNの問題点、治療前のFNリスクの評価、G-CSF適正使用ガイドラインなどが詳しく紹介されました。
続いて「がん性疼痛の評価と治療」をテーマに外科 麓医師より話がありました。
このテーマは2回に分けて勉強することになっており、今回は前半部分になります。このテーマでは、仮想症例を通じて、痛みを評価するためにどのようなことを聞けばよいのか、また痛みを緩和するためにはどのような薬物を使えばよいのかなどについて、皆で一緒に考えながら勉強していきました。特に痛みの部位と経過を聞く際に気を付けなければいけないこととして、がん患者さんの痛みが全てがんによる痛みとは限らないと話し、変形性関節症や胃潰瘍、胆石などの偶発症の可能性もあるので頭に入れておかなければならないと話しました。また、痛みを緩和するための薬物療法の話では「WHO三段階除痛ラダー」の紹介や、がん疼痛治療のアルゴリズムに沿って様々ながん疼痛治療薬の説明がありました。
大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者様に応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。

(経営戦略部 羽田野)