社会医療法人恵愛会 大分中村病院

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第61回 がん化学療法・緩和ケア勉強会を開催

5月10日(木)に「がん化学療法・緩和ケア勉強会」が開催されました。当院では、最先端のがん治療と最善のケアを患者さんに提供するために、定期的な勉強会を開催しております。今回は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど43名が参加しました。

はじめに「皮膚障害をコントロールするために」をテーマに話がありました。
抗がん剤治療中、薬の種類によっては、皮膚や爪の細胞に大きなダメージを受ける場合があります。治療を始める際、皮膚障害を予防するための軟膏(塗り薬)が処方されることがありますが、それら薬剤による予防だけでは十分とは言えず、患者さん自身に行って頂く保清(皮膚を清潔に保つ)、保湿(皮膚に潤いを与える)、保護(刺激を避けて皮膚を守る)といった3つのスキンケアがとても重要なポイントであるとのことでした。
また、講師から、患者さんに対するスキンケア(保清・保湿・保護)に関する具体的な指導内容、日常生活における細かなポイントなどについて詳しい説明がありました。

続いて「つらさの包括的評価と症状緩和」をテーマに話がありました。
がん患者さんの動画を見た後、「患者さんが抱えている苦痛をどう捉えていけばいいのか」、「どのように問いかければ良いのか」など、苦痛のスクリーニング(評価)”について詳しい話がありました。苦痛に対する評価はがん診療に携わる全ての医療従事者が知っておくべき知識であるということ、また、苦痛の評価で終わるのではなく、その評価に対して適切かつ速やかな対応(症状緩和)が重要であるとのことでした。また、がん患者さんの具体的な事例をあげ、その患者さんが何に対して「つらい」と言っているのか、全人的苦痛(身体的苦痛・精神的苦痛・社会的苦痛・スピリチュアルペイン)を視点においた評価と適切な対応について、参加者皆で検討致しました。
最後に、外科 麓医師から、「病気に対する治療だけでなく、痛みをはじめとする苦痛(つらさ)にも目を向けることが大切です。患者さんは苦痛を訴えることが難しいことがあるということを我々医療従事者は念頭に置く必要があるでしょう。また、苦痛をスクリーニングした後、包括的に評価し、適切に対応することが大切です。多様な苦痛に対処するためにも、チームアプローチはとても重要であり、多種職での情報共有ができる環境体制を作っていきましょう」と話しました。

大分中村病院では定期的な勉強会を通じ、最新の医療情報をスタッフ全員が共有し、一人ひとりの患者様に応じたがん治療を提供できるよう精進してまいります。

(経営戦略部 羽田野)