4月26日(木)当院6階研修室において「平成30年度 第1回大分中村病院救急症例検討会」を開催しました。
この会は、当院への救急搬送などで日頃お世話になっている消防署職員の皆さんと院内スタッフが、より深く連携を図る事を目的に開催したものです。大分市、臼杵市、豊後大野市の消防から30名が、当院からは医師、看護師、ソーシャルワーカーなど41名が参加しました。
まず初めに呼吸器内科部長の葦原義典医師より、昨年12月の深夜、軽乗用車が電柱に衝突する事故が発生し、運転者が当院へ救急搬送された症例について発表がありました。最初は運転者の右下肢に開放創ということで、外傷の処置ができればと受け入れましたが、肝損傷を認め緊急治療を要すると判断したため、3次医療機関に受け入れを要請し、転院搬送となったそうです。発表では、その時の患者さんの状況や検査所見、画像所見、その後の経過等が詳しく報告されました。
次に初期臨床研修医の川岸正周医師より「統合失調症の合併により診断・治療に難渋した横紋筋融解症の1例」について発表がありました。発表では、統合失調症が合併していたため、正確な病歴を聴取するのが困難だったこと、また症状に関しては軽度であったものの重い病態が隠れており、入院後はCHDF(持続的血液濾過透析法)・人口呼吸器管理まで陥った症例だったことが話されました。また抗精神病薬等を内服していたため、横紋筋融解症の原因として薬剤性のものと外傷性の両方が考えうる症例であったことも報告されました。
アンケートからは「救急搬送後の予後が確認出来たので良かった」「普段あまり経験する事のない症例で興味深かった」「現場では判断しにくい症例であっても検査・治療の内容を聞くことで次回の救急時の判断材料となるので良かった」「発表のスライドを止めて質問形式とする事で考える事が出来たので非常に良かった」などの感想を頂きました。そして「次回の勉強会にもぜひ参加したい」との声を多く頂くことができました。また勉強会後に開かれた意見交換会では、消防署職員の皆さんと当院スタッフとの交流が図られました。
大分中村病院では、こうした症例検討会を継続して開催し、救急医療の質の向上に努めてまいります。
(人材育成委員会)