社会医療法人恵愛会 大分中村病院

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第59回がん化学療法・緩和ケア勉強会を開催

3月8日(木)、当院6階研修室にて「第59回がん化学療法・緩和ケア勉強会」を開催致しました。この勉強会は、患者さんに最新の医療を提供するため、外科部長の麓 祥一医師がスタッフの知識向上を目的に定期的に行っております。
まず初めに、小野薬品工業株式会社Immuno-Oncologyナース の菅原 裕夏さんが「がん免疫療法の副作用(irAE)について~看護師として知っておくこと、観察、患者指導のポイント~」についてお話しをして頂きました。
がん免疫療法は、薬が直接がん細胞を攻撃するものではなく、もともと体内に備わっている患者さん自身の「免疫」の力を利用して、がん細胞への攻撃力を高める治療法です。がん免疫療法で投与される治療薬「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)」は、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態(副作用)があらわれることがあります。菅原さんは「オプジーボを投与して発現するごく稀なケースにも対応できるよう、副作用を覚えるのではなく、症状を拾い上げていくことが大事です」と話し、オプジーボの作用機序や副作用、実際にあったケースレポート等について詳しく紹介しました。麓医師は「今後、オプジーボを中心とした免疫チェックポイント阻害剤が、がん治療の中心的な薬剤になってきます。抗がん剤と違って予想もできない時期に予想外の副作用が発現するということを念頭に置いて対応していかなければなりません」と話しました。
次に、2月23日(金)東京で開催されたグリーフケア研修に参加した戸高真由美看護師(緩和ケア認定看護師)より「グリーフケア研修を通して学んだこと」と題した研修報告がありました。まず初めに、「悲嘆」とは大事な愛着の対象を失い、強い失望感、衝撃、不安、孤独を伴う深い悲しみを味わうことであり、思慕を中心とした感情と何とかしたいと対処を試みる2者が併存する不安定な心身反応と説明し、看護師の役割としては、この悲嘆が少しでも深くならないように死別前からの家族ケア(環境調整、家族を孤立させない、看取りの準備を促す等)が必要だと話しました。また、看護師からの相談内容や看護援助の実際、看護師に期待されること等を紹介しました。最後に「ご家族と積極的に関わり、声掛け、気遣いをしていくことが家族ケアとなります。また病状の予測と準備について看護師に相談できるということを伝えておくと、ご家族の安心につながります。これから先、この学びをスタッフと共有しグリーフケアの重要性を広め、一緒にグリーフケアに取り組んでいきたいと思います」と話しました。
当院では、それぞれの患者さまに応じたがん治療と緩和ケアを提供させて頂けるよう、引き続き治療環境の整備を進めてまいります。また、「がん患者・家族のためのがんサロン『太陽のカフェ フィーカ』を奇数月の第3土曜日に開催しております。次回は3月17日(土)午後1時から3時までです。ぜひお気軽にお越しください。

会場の様子

戸高真由美看護師(緩和ケア認定看護師)

(広報企画 羽田野)