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睡眠時無呼吸症候群
(SAS・サス)について

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社会医療法人恵愛会 大分中村病院
大分市大手町3-2-43 〒870-0022
TEL:097-536-5050
http://www.nakamura-hosp.or.jp


■指導:臨床工学部 ■編集:制作室 ■文章作成:2003年10月16日

危険な眠気



2003年2月26日、JR山陽新幹線広島発東京行「ひかり126号」で発生した運転手の居眠り事故は新聞、テレビで大きく取上げられ、運転手の居眠りの原因が睡眠時無呼吸症候群であった事から社会的な問題となりました。運転中の居眠りは一歩間違えると大惨事を招きかねない深刻な問題です。この睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気なのでしょう?睡眠と無呼吸について簡単に解説して睡眠時無呼吸症候群のお話しをします。


良質な睡眠


私たちは、昼間の活動で生じた体や脳の疲れを睡眠中に休ませて、翌日スッキリと目覚めて生活しています。睡眠には一般的に疲れた体を休める睡眠(レム睡眠)と疲れた脳を休める睡眠(ノンレム睡眠)のサイクルによって構築されています。正常な睡眠の段階は浅い眠りの1〜2で始まり、段々と深い眠りの3〜4へと移ります。それから一旦浅い眠りの2に戻ってレム睡眠になります。これを睡眠単位と呼んでいます。睡眠単位は普通90分程で、一晩の睡眠でこれを4〜5回繰り返して脳と体をリセットしています。ところが、この睡眠が途中で分断され続けると脳が十分休まらず睡眠障害となり、日中の居眠りやイライラ感、偏頭痛や性格の変化が見られるようになります。健康を語る上で、睡眠・運動・栄養は欠かせませんが、特に良質の睡眠は健康を維持する上で重要です。毎晩しっかり寝て、その日の疲労を回復することが睡眠の最も重要な役割です。

無呼吸の原因


無呼吸は10秒以上の呼吸停止があるものとされていますが、睡眠中に無呼吸となるものを睡眠時無呼吸と言います。睡眠時無呼吸は肥満によって気道が閉塞されて息が止まるものと、眠ると脳からの呼吸刺激が弱まって無呼吸になるもの、両者が合さったものに分類されます。どちらも睡眠中に息が出来なくなると酸素が取込めなくなり、二酸化炭素が溜まって苦しくなります。このままでは死んでしまうので、脳から「起きろ!」という命令が出ます。脳からの命令が伝わると大きな息と共に呼吸が再開します。このとき脳は目が覚めた状態(覚醒)になります。この無呼吸が1時間に5回以上起こり、日中の眠気などの症状が有ると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。また無呼吸が15回から20回を超えると治療が必要になります。1時間に何十回も無呼吸があって、脳が覚醒を繰り返すと睡眠が分断されてしまい、いくら睡眠時間を取っても熟睡ができません。良質な睡眠が取れなくなる原因となるのが睡眠時の無呼吸です。睡眠時無呼吸症候群は呼吸障害と睡眠障害を伴う恐ろしい病気である事を自覚しなければなりません。

3つのタイプ


睡眠時無呼吸症候群は次の3つの型に分けられます。



上気道の閉塞→無呼吸
閉塞型睡眠時無呼吸症候群
  1. 閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は胸と腹の呼吸運動は行われていますが、寝ている間に喉の筋肉がゆるみ舌根沈下を起こして空気の通り道の気道を塞いで無呼吸となります。寝ている間に首を絞められたような状態となり呼吸再開時に大きなイビキを伴うのが特徴です。
  2. 中枢型睡眠時無呼吸症候群(CSAS)は肺、胸郭、呼吸筋、末梢神経に異常がなく、中枢神経系の疾患や呼吸中枢の機能異常によって呼吸刺激が障害されて無呼吸が発生します。脳に疾患がある場合や心不全がある場合、また高齢者にも見られますが必ずしも肥満を伴いません。
  3. 混合型は閉塞型と中枢型が合さったタイプで無呼吸が中枢型から始まり、閉塞型に移行するパターンが主です。

合併する疾患


睡眠時無呼吸症候群は循環器疾患や生活習慣病を高率に合併することが分かっています。特に頻度が高いのは次の疾患です。

  1. 「高血圧症」睡眠時無呼吸症候群の40〜70%に高血圧が合併していると言われています。特に睡眠時に血圧が低下しないノン・ディッパー型高血圧が多く見られます。
  2. 「肺高血圧症」睡眠時無呼吸症候群の重症例には肺高血圧症あるいは右心不全を合併している事が知られています。これは無呼吸時の低酸素状態が肺血管に作用したり心臓の静脈血が増大することが関与しています。
  3. 「糖尿病」肥満、非肥満に関らず糖尿病、耐糖能異常を合併することが多く、糖代謝異常の発生にかかわる可能性があります。
  4. 「虚血性心疾患・脳卒中」肥満や高血圧、耐糖能異常、高トリグリセライド(TG)血症を合併すると狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳卒中(脳梗塞など)を発症する事が分かってきました。睡眠時無呼吸に関連した夜間突然死の原因が不整脈よりも心筋梗塞と言われています。このように睡眠時無呼吸症候群が昼間の眠気だけでなく生活習慣病や合併症の元凶になる怖い病気だと言う事がお分かり頂けたと思います。

睡眠中に呼吸が止まると酸素が体に取り込めなくなり、脳は防御反応的に覚醒して呼吸を再開させます。



治療の流れ


睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合の当院での診療と治療の流れは図のようになります。睡眠呼吸障害外来で循環器の専門医が診察します。簡単な問診から検査の必要性を判断して検査入院の予約を入れます。検査当日は夕方までに入室して頂き、看護師・検査技師が検査の概要等をご説明いたします。19時から技師が装置を持って病室に伺い、体にセンサーを装着いたします。装着後は就寝まで楽に過ごして頂き、通常の時間にお休みいただいて、翌朝にセンサーを取り外した後に退院の手続きと次回の診察日を確認します。

チーム医療


当院では循環器内科医を中心として、看護師、臨床検査技師、臨床工学技士、理学療法士、管理栄養士、呼吸療法士がチームで連携して、それぞれの専門性を活かしながら睡眠時無呼吸症候群の治療に携わっています。また、専門の窓口もありますのでお気軽にご相談ください。

PSG(ポリソムノグラフィー)1泊入院



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