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むち打ち損傷-外傷性頚部症候群-

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社会医療法人恵愛会 大分中村病院
大分市大手町3-2-43 〒870-0022
TEL:097-536-5050
http://www.nakamura-hosp.or.jp


■編集:制作室 ■文章作成:2005年6月30日

交通事故等が原因で当院を受診される首のむち打ち損傷(外傷性頚部症候群)の患者さまは、年間およそ500人にのぼります。しかし、むち打ち損傷の治療に関して、現在の最先端の研究でも未だに明らかにされていない事が少なくありません。患者さまからよく寄せられる質問について考えていきましょう。


むち打ち損傷とはどんな病気なの?

むち打ち損傷とは頚部が衝撃的な振れ方をすることによって生じる障害のことで、その症状は、首の痛みや動きの制限、めまい、吐き気、耳鳴り、眼精疲労と人によってかなりの差があります。むち打ち損傷における頚部の損傷は、主として筋、腱、そして靭帯(骨と骨をつなぐ強固な線維組織)といった軟部支持組織です。この頚部軟部支持組織には深部受容体、交感神経受容体などが含まれているため、さまざまな症状(中枢性のめまい、吐き気、耳鳴り、眼精疲労など)を伴うようになるのです。
 受傷後は、先ず医師の診察を受け、頚部の損傷の程度を判断してもらう必要があります。その理由は、頚部の神経(頚髄=首の奥にある手足にいく神経の幹、神経根=頚髄より手にいく神経の枝)の損傷を伴う場合、より慎重な対処治療が必要となるからで、それ以外の障害が一般に言うむち打ち損傷となります。


首カラーは着けるべき?

頚椎カラーと安静の必要性についてですが、むち打ち損傷の中で極めて限られた症状、つまり頚部の明らかな腫脹を伴った動きの制限(首が腫れて、前後左右にほとんど動かない)のみに頚椎カラーが適応され、座ったり、立ったりすることがままならないほどのめまいや吐き気を訴える患者さんに安静が必要となります。ではこのような患者さま以外は頚椎カラーや安静は必要ないのでしょうか?最新の治療での答えは「必要なし!」です。例えば、頚椎の手術後2〜3日でベッド上で起き上がったり歩行を開始し、頚椎カラーもほとんどしない方が、従来の2〜3週間のベッド上安静と約3ヶ月間の頚椎カラー装着より頚部の疼痛や不定愁訴が少なく結果が良いと最近の成績で示されています。私の経験をまとめた結果でも疼痛のみのむち打ち損傷で長期安静を行った患者さまの予後結果(受傷後半年もしくは1年後の結果)は概して不良でありました。


どうしたら早く良くなるの?日常生活で気をつけることは?

基本的には、事故などで衝撃を受け、筋肉の緊張をもたらすことによって生じた筋肉の耐久性の低下を向上させるしかありません。そのためには、痛みをある程度我慢しながら首の等尺性運動、つまり首を比較的良い位置で筋肉を収縮させて、首の筋肉の強化を行い、首によってしっかりと頭を支えられるようにするための運動が大切になります。この際、首や頭の痛みや肩こりが問題となった時に薬(消炎鎮痛剤や筋弛緩剤等)や電気、温熱療法が本当の意味で必要となるのです。患者さまとしては、自分でする運動だけで良くなるだろうかという不安もあるようですが、実際に事故後3ヶ月以上も経過して受診された患者さまに対して、薬を止め、運動療法だけで治ゆした経験も多数あります。以上の事より、当院では基本的には自宅でできる運動療法の適切な指導をして、安静の回避の説明と補助的な薬(内服薬や湿布など)の処方を行なっています。


後遺症は残らないの?

適切な治療で治っても、数年して後遺症が出ることはないかとの不安があります。現在の医療では、事故後数年経過して後遺症を診断する手技はありません。健康な人でも25歳を過ぎると頚椎に年齢的な変化が少しずつ現われはじめ、その症状はむち打ち損傷のものと似ており区別は困難です。そのため事故後数年して何らかの症状が出たとしても、年齢的なものか事故によるものかの区別は容易でなく、あらゆる画像診断(MRIなど)を用いても鑑別には至りません。しかし、一般に言われていることは、受傷当初に適切な治療を行わないと症状が残り、これがいわゆる後遺症であり、適切な治療によって治ゆした場合、後遺症の原因となるものがほとんどないということです。
 事故などで受傷した患者さまは、大変だと思いますが、むち打ち損傷に対しては「1に運動、2に運動、3、4がなくて5に運動」と思って自主訓練に汗を流してください。


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