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慢性硬膜下血腫
〜軽い外傷後に頭痛・ボケ等の症状があれば〜

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社会医療法人恵愛会 大分中村病院
大分市大手町3-2-43 〒870-0022
TEL:097-536-5050
http://www.nakamura-hosp.or.jp


■指導:副院長 脳神経外科部長 大林正明  ■編集:制作室 ■文章作成:2008年7月9日

まず最近治療を行った典型的な慢性硬膜下血腫の患者さまを紹介しましょう。

「75歳の男性で日頃健康で病気一つした事がなかったが、1週間前から次第に元気がなくなり会話の内容もおかしくなり、家族はボケてしまったと思っていた。ところが歩行障害も出現、昨日から左足のスリッパが脱げるのにも本人は気付かず、今朝は眠ったような状態になった」との事で、近くの病院を受診後緊急紹介され来院されました。来院時は閉眼していて呼びかけてやっと目を開ける程度に意識は落ちており、左の手足の筋力低下(左片麻痺)も認めました。

CT(コンピューター断層撮影)検査で、右側に多い両側の慢性硬膜下血腫が脳を圧迫している所見が得られました(図1)。直ちに局所麻酔下で直径1pの穴を両側に開け、貯溜した計150c.c.の血腫を除去後洗浄し手術を終了しました。


図1 術前のCT写真

術前のMRI写真
血腫により脳が圧迫されている

患者さまの回復は早く、翌朝には意識が正常に戻り、会話にも間違いがなくなり麻痺も回復し、10日後元気に退院されました。手術1ヶ月後のCTでは、圧迫されていた脳は正常に回復しているのが確かめられました(図2)。


図2 術後のCT写真
手術後正常に回復している

慢性硬膜下血腫は、軽微な頭部外傷後に出現する事が多く(特に60歳以上の男性に多い)、外傷後1〜3ヶ月かけて頭蓋骨の下にある硬膜と、脳の間の硬膜下腔に血液が貯溜してくる(血腫)病気です。頭痛、精神活動の遅鈍、記憶障害、言語障害、半身麻痺などの症状が外傷の1〜3ヶ月後に出現し、進行すると意識障害も強くなり死に至る場合があります。外傷は軽微なため記憶してない場合も多く、実際本例では、家族は「外傷はなかった」と言っていましたが、回復した本人に詳しく聞いてみると、「そういえば転んで軽く頭を打ったが、かすりキズ程度で意識もしっかりしていたし、外傷が軽いため忘れていた」との事でした。老人の場合、ボケ症状で始まる事が多く精神科の病気とまぎらわしいこともあります。

治療は外科的治療で劇的に回復します。軽い外傷後1〜3ヶ月後に頭痛・ボケ等の症状が出たら脳神経外科へ!

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